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有料アプリ開発経験者にとっての無料アプリとは? ~ 開発のポイントとマネタイズ方法

, 10月 31, 2016

アプリリリース後、アメリカ・日本・中国をはじめ、100カ国でフィーチャーされ、話題を集めたシューティングゲーム『弾幕月曜日』。その開発手法、マネタイズ方法について、開発者のイトウマサユキさんに話を聞きました。

コンセプトは「一週間でマスターできる弾幕シューティング」

–:イトウさんのプロフィールを教えてください。

イトウ:個人でゲーム開発をしています。2015年、iOS用に「.Decluster」「.Decluster Zero」というシューティングゲームを、2016年10月に「弾幕月曜日」をリリースしました。開発はXcodeでObjective-CとC言語を使って作成、画像はGIMP、BGMやSEはLogic Pro Xを使って作成しています。

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(左: .Decluster  右:.Decluster Zero)

–:『弾幕月曜日』というユニークなタイトル名ですが、本作のコンセプトはどういったものなのでしょうか?

イトウ:このゲームは、シューティングゲームをあまりプレイしたことがない人たちに、その楽しさを知ってもらいたいと思って作りました。弾幕シューティングゲームは見た目からして難しそうに見えるんですが、いくつかの基本がわかれば、見た目ほど難しくもなく楽しく遊べると思っています。ですから、ゲームを遊んでいるうちに少しずつシューティングゲームの遊び方やスキルが身につくように、そしていつの間にかシューティングゲームが好きになっていた、となるようなゲームを目指しました。

ネーミングについては不思議に思う人もいると思いますが「一週間でマスターできる弾幕シューティングゲーム」というコンセプト、その第一弾だから月曜日なんです。最初はロゴに「だんまくマンデー」というルビを振っていたんですが、読み方はどっちでもいいかと思って消しました。ちなみに、開発当時のメモを見ると、月曜日か水曜日かで迷っていたみたいです。

–:リリース後にAppStoreでおすすめゲームにピックアップされ、さらにはレビューもかなり高評価です。

イトウ: 奇跡的に100カ国以上のAppStoreでフィーチャーしてもらえたのもあったと思いますが、ダウンロード数は、おかげさまで30万を超えました。このゲームは英語と日本語にしか対応していなかったというのもあって、こんなに多くの国でピックアップされて本当にビックリしました。

レビューサイトのTouchArcadeでは前作、前々作に続き、レビューで5つ星をもらえました。今作は前作までのゲームとはだいぶ違っていたので、どう評価されるかが心配だったんですが高い評価をしてもらえて安心しましたね。

AppStoreのレビューも読ませてもらっていますが、「シューティングゲームをやったことがなかったけど楽しめた」というような感想も書いてあって、作って良かったなぁと思いました。意外だったのが「ついつい何時間も連続でプレイしてしまった」というような人が結構いたことです。スキマ時間に少しずつ遊んでくれればと思っていたので。

それから、いろんな方がYouTubeに動画をアップしてくれているのも嬉しいですね。プレイ動画を見ることは単純に好きですし、次のゲームの参考にもなるのでなるべく見るようにしています。YouTuberの瀬戸弘司さんも動画をアップしてくれていまして、彼の動画を普段からよく見ていたので、紹介してもらって驚きました(笑)

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有料、無料で異なる開発におけるポイントとは

–:開発において特に大事にされたのはどういった要素でしたか? また、苦労されたポイントがありましたら教えてください。

イトウ:とにかく、シューティングゲーム初心者の人を意識しました。具体的には、ゲームの初めは単純にし、ステージが進んで行くにつれてできることを少しずつ増やしていく、難易度は少しずつ上昇させながら時々難しいステージを配置しています。ゲームシステムも複雑な要素を排除して、オーソドックスに、「移動」と「ショット」と「ボム」にまとめました。ビジュアル面に関しては、いつも悩んでいます。正解がよくわからないので、試行錯誤の繰り返しで時間がかかりますね。

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(左: 開発初期の画面        右:製品版での同じシーン)

–:前作の『.Decluster Zero: Bullet Nocturne』は買い切りの有料アプリでした。本作は当初から無料でリリースすることを決めていたのでしょうか?

イトウ:当初から無料アプリとして作ることに決めていました。前作のダウンロード数が思っていたよりも少なかったので、無料ゲームを一度試してみようと思っていたのと、シューティングゲーム初心者の人にも気軽に遊んでもらえるように、ということで無料に決めました。今後は有料ゲームと無料ゲームでユーザー層も変わってくるので、作りたいゲームが誰に向けたゲームなのかを考えて決めるようにしていこうと思っています。

–:対象のユーザーを想定する以外に、判断材料はありましたか?

イトウ:ライト層向けかコアゲーマー向けかという観点以外では、低年齢層向けのゲームなら有料は選びませんし、忙しい社会人向けなら有料も選択肢に入ってきます。シューティングであれば、シューティングが好きな人たちは有料の買い切り型を好む人が多い印象です。そういう人に向けたゲームの場合は有料ゲームにすることを第一候補として考えます。

ただ、有料にするとシューティングが好きな人たち以外はあまり購入しなくなると思うので、その他の人にも遊んでもらえるようにしたければ、無料にすることも考慮します。幅広い層のユーザーをターゲットとするなら、無料の方がやりやすいと思います。

有料ゲームにしなくても、無料+アプリ内課金で同じようなこともできますし、迷うようなら無料にした方が良いとは思います。私が感じるデベロッパーとしての有料ゲームのメリットは
・ 無料+アプリ内課金に比べると実装がシンプルになる
・ マネタイズのことをあまり考えなくていい
・ ストアで上位にランクインしやすい
・ 値下げセールができる
・ 一定のユーザーが確保できているのであれば、収益が安定する
といったところでしょうか。

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(左: ゲーム開始時           右:高難易度のステージ)

無料アプリとしての課金+広告によるマネタイズ

–:『弾幕月曜日』は無料モデルです。無料ゆえの工夫や違いを感じる点はどこですか?

イトウ:このゲームでは、ステージをプレイしてポイントを貯めて、そのポイントを使って自機を強化できるようになっています。さらに動画広告を見ることでポイントを追加で獲得できるようになっています。こういったアプローチは無料ゲームで活かされると思いますし、『弾幕月曜日』を有料ゲームで出すならポイントシステムも自機の強化システムも排除していたと思います。有料か無料かというのは、ゲーム内容自体にも大きく影響してくると感じています。

動画広告として実装しているUnity Adsの実装は簡単で、特に迷うこともなく作業ができました。このゲームでは、ステージ終了後にギフトという形で、動画広告を視聴するボタンを表示しています。毎回表示せずに一定の頻度で表示するようにしているんですが、どれくらいの頻度が適切かはまだ確信があるわけではないのですが、今回は少し物足りなく感じる程度の頻度にしてみました。

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ダウンロード数については有料と無料ではケタ違いなので、無料ゲームの方が反響が多かったりフィードバックがもらいやすかったりするのかなと思いました。ただ、有料ゲームの場合はお金を払って購入している分、本気で遊んでくれるユーザーが多いような気もします。

–:収益モデルは課金+広告のハイブリッド型ですが、開発時の想定と現時点での結果はどのようなものでしょうか。

イトウ:予想ではアプリ内課金が7割ぐらいになると思っていました。実際はおよそ1:1で、アプリ内課金がやや高くなっています。具体的な金額は控えさせてもらいますが、過去作品と比較しても、収益額は現時点で無料版である今作の方が多いです。

–:グローバルで収益化できているのも大きいですよね。

イトウ:英語対応のみではありますが、スマホアプリはグローバルでリリースするのが当たり前だと思っていたので、特に考えずにそうしました。ゲーム内容については、日本向けグローバル向けということを意識しているわけではないです。ダウンロード数が多いのは、日本、アメリカ、中国ですね。AppStoreでのレビューもたくさんいただいています。レビュー内容は中国語は読めないのでわからないのですが、アメリカの人たちは誉めるのが上手ですね(笑) あと、日本ではSNSでのシェアが多い気がします。

『弾幕月曜日』のこれから

–:『弾幕月曜日』は今後どのようなアップデートをお考えですか?

イトウ:大型のアップデートとして、新しくゲームモードの追加や自機タイプの追加を考えています。その後は、Androidへの移植を検証していこうと思っています。次回作はまだ何も考えていませんが、引き続きシューティングゲームを作りたいです。.Decluster2も良いかもしれませんね。


イトウマサユキ氏 作成のシューティングゲームアプリ

『弾幕月曜日』 無料
50ステージ以上の大ボリュームで楽しめる無料の弾幕シューティングゲーム。弾幕シューティングゲーム初心者でも気軽にプレイが可能。

『.Decluster – ドット デクラスタ – Into the Bullet Hell』 ¥360
ネオレトロなドットグラフィックスが特徴の弾幕シューティングゲーム。日本の伝統的な美しい弾幕、そして、それらを避けるだけではなく、「消し去る」ことによって生まれる新しい弾幕シューティング。

『.Decluster Zero: Bullet Nocturne』 ¥600
ドットをモチーフとした抽象的なグラフィックと、アップテンポでハイテンションなBGMにより構成された本格2D縦スクロールシューティングゲーム。避ける! 撃つ! 2Dシューティングの面白さを凝縮。