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Unity Hackweek 2018 ― 「一緒につくろう!」

2018年7月4日 カテゴリ: ニュース | 7 分 で読めます
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あなたはどんな環境で最もクリエイティブになれますか?私達は、信頼のおける人々に囲まれて、リラックスした親しみやすい雰囲気があって、しっかり集中することができる、そんな環境で面白いことが起こると考えています。これに時間制限を設けて、目的意識を共有すれば、まるで魔法のようなことが体験できるかもしれません。Unity で毎年 1 週間、エンジニアが集い、実験的な試みやコラボレーションを行ったり、共に楽しい時間を過ごすイベント「Unity Hackweek」を開催しているのは、まさにこのためです。

趣旨はシンプルです。行いたいプロジェクトを考え、チームメイトを見つけて 1 週間そのプロジェクトに取り組み、結果を発表します。Unity Hackweek の特別なところは、自由でオープンな精神、そしてコラボレーションが中心になっていることです。全体としてのプランニングは行いません。参加者それぞれの行いたいプロジェクトがすべて、シンプルな Google スプレッドシートにリストアップされます。

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このウィッシュリストを現実にすべく、私達はデンマークの、Unity の元々のベースであるコペンハーゲンから 90 分ほどの距離にある小さな町に集結しました。開けた海に面しており、Sjælland 島と Fyn 島をつなぐ大きな橋が望める場所です。そこは本当に「the sky is the limit(可能性は無限だ)」ということが感じられる場所でした。

では実際、参加者はどんなものを制作したのでしょうか?今年のほとんどのプロジェクトは、新しい何かを学習することを中心に展開しました。例えば、Entity Component System(ECS)、AR、映像制作、機械学習、そして他の(Unity 内外の)デベロッパーを助けることなどです。IL2CPP やプログレッシブライトマッパー、プロファイラーなどの Unity の大きな機能も、過去の Hackweek のプロジェクトとして始まったものです。とはいえ Hackweek で行われる実験的プロジェクトの大部分は Unity ロードマップに載ることはありません。Unity Hackweek の目的は、通常私達が Unity コードに課すクオリティやワークフローの制約を離れたところで、新しいアプローチを試みることにあります。

ソースコードを触ってみる

Hackweek 2018 では少し趣向を変えて、外部から 50 人を超えるゲストをご招待しました。そのほとんどは Google Cloud や Nordeus、Zynga などの Unity パートナーの方々でしたが、コミュニティメンバーの中で特に熱心で活発に発言されている何人かの方々にもお越しいただきました。またゲストのほとんどは「Women in Gaming(ゲーム業界で働く女性のためのワークショップ)」イニシアチブの参加者でもあります。ゲストは皆、どのチームにでも自由に参加でき、Unity 内部のスタッフによる技術的な講演を聴いたり、他の参加者と交流したり、フィードバックをシェアしたりすることができます。

「ずっと Unity Hackweek に行きたいと思っていました!普通のカンファレンスと比べるとかなり砕けた雰囲気で、とてもクリエイティブな環境です」と LotteMakesStuff の Lotte May 氏は話します。彼女は少し以前から ECS アルファグループに参加していますが、通常の Slack チャンネルの外で実際にチームと顔を合わせて話ができることが非常に貴重だと言います。Lotte 氏が参加したのは、多くの人が必要としているのに何故かまだ実装されていない小さな改善に焦点を当てた「Low Hanging Fruit」グループです。「私が作ったのはコンセプトの立証に過ぎませんでしたが、Unity のソースコードに触れたのはとても素敵な体験でした!」
Lotte 氏のツイッターで彼女のプロジェクト「ListDrawerAttributes」について紹介しています。

「Women in Games」のゲスト達と Unity R&D チームの HR ディレクター Anders Johansen

Google Cloud と ECS

Mark Mandel 氏と Joseph Holley 氏は Google Cloud からのゲストとして Unity Hackweek 2018 に参加しました。Unite Berlin で Google との戦略的提携についての発表を行ったことは記憶に新しいと思います。彼らのチームは、Unity と Google Cloud プラットフォームと Multiplay ホスティングを使用して、昨年の Unite Austin Training Day で使用したゲーム『Hover Racer』を、マッチメイキング機能搭載のマルチプレイヤーゲームにたった 2 日間で作り替えることに成功しました。「僕達の質問に答えてくれる人達が皆同じ部屋にいたので物事が非常に早く進み、とても助かりました。私達の継続的なコラボレーションによって、他の皆にとっても同じことが簡単に出来るようになることを願っています!」と Google Cloud Platform の Developer Advocate であるMark Mandel 氏は話します。Unity と Google Cloud Platform のコラボレーションについての詳細をお知りになりたい方は、Unity エンジニアリングチームの Vice President である Brett Bibby と Google Cloud Platform のゲーム部門のプロダクトマネージャーである Micah Baker 氏による Mark のインタビューをお聴きください。

Mark Mandel 氏と Joseph Holley 氏、そして彼らの Hackweek プロジェクト

彼らのプロジェクトは、デフォルトで高パフォーマンスコードを記述する Unity の新しいモデルである Entity Component System (ECS) の数多くの実験的試みのひとつでもあります。もうひとつ作成された『ECSCraft』 は、マイニングやクラフティングを行う、大量のデータを含んだゲームです。これは、ECS を使用した場合に同じようなゲームがどれだけ効率的に実行されるかをテストするために設計されました。「チームメンバーのほとんどはまったく ECS の知識がない状態でしたが、結果的に、たった数日間でプロトタイプを組み上げることができました。」と、週の初めに皆に向けて ECS に関するプレゼンテーションも行った、Unity のコアエンジニアリングチームの Fabrice Lété は語ります。

Ubisoft Redlynx の Tove Brantberg 氏は普段は UI プログラマーとして働いています。彼女は今回、プロジェクトの環境のプロシージャル生成のコーディングを行いました。フィンランドから来た彼女は、Hackweek の最初のゲストでした。「ここでは皆が同じことに興味を持っているので、人数が多いにも関わらず、誰に話し掛けても何か共通点があるんです。とても嬉しい気持ちになります。」

Hackweek で開発された ECSCraft

Morgan Paul 氏(Natural Motion / Zynga)も Fabrice のプレゼンテーションで ECS のことを知りました。「非常に為になりました。ECS はまったく新しい考え方を提示するものなので、 自分がそれまで行っていたコード構築の方法から離れて考える必要がありました。」彼らは、今後 Unity から公開が予定されているサイズの小さなランタイム(現時点ではクローズドアルファ版)のデベロッパーと共に、「Unity for Small Things」と ECS の可能性を試しました。その結果、たった 330KB のゲームの作成に成功しました!

「喜んで手伝うよ」

Morgan には 1 歳半の娘がいるので、7 日間も家を離れることは家族にとって大変な状況でした。しかし今年は、Hackweek に初の託児所が設けられました。「ここでのケアはとてもしっかりしています。おかげで、子供を連れてプロフェッショナルなイベントに参加する際のストレスが減りました」と Morgan は言います。この託児所は、夫婦共に Unity で働いているスタッフ達にとても役に立ちました。どちらが Hackweek に参加して、どちらが子供たちのために家に残るのか、決めなくて済んだからです。Hackweek は Unity の R&D チームで仕事をする者にとって非常に大きな意味を持つイベントなので、両親がイベントに集中している間、きちんとしたプロに子供達の世話を頼めるようにするのは、ごく自然なことでした。

このような託児所ひとつ取ってみても、Unity Hackweek が通常のハッカソンとは一味違っていることがお分かりになるでしょう。イベント中ほとんどの時間は、デベロッパーがホワイトボードに夢中で図を描いていたり、夜遅くまで熱心に画面を見つめていたりする様子が見られます。しかし、全体的な雰囲気は砕けた感じで、参加者は自由に休憩を取ってリフレッシュしていました。素晴らしい好天にも恵まれ、バルト海で泳いだり、海岸を散歩したり、芝生の上にただ座って景色を楽しんだりすることもできました。目的は互いに競争することではなく、勝者も敗者もありません。最終日には全体に「私のチームは終わったから、喜んで手伝うよ」という雰囲気が溢れていました。

Unity の Build チームの Richard Fine は 4 回の Hackweek に参加したベテランです。「初めて参加した Hackweek では、僕のプロジェクトは大失敗でした!でも充実感を感じました。Hackweek はリスクの高い野心的なアイデアを試す機会なので、もし誰も失敗しなければ、十分にリスクを取っていないということです。」彼は今回、動的コンテンツを今後公開予定のサンプルゲームに追加するチームに参加しました。「皆、沢山のことを学びましたが、それだけでなく膨大なフィードバックのリストとコードも手に入りました。ゲームチームと ECS チームは、これを持ち帰って分析することになります。」

Unity Hackweek の主要なコンセプトは、皆が互いに多くを学び合えること、そして適した人を見付けられれば共に素晴らしいことが可能であるということです。金曜日に行われた長時間にわたるプレゼンテーションで、素晴らしい試作の数々を皆で拍手喝采しながら見るのは、本当に刺激になりました。刺激を受けてインスパイアされ、やる気に火がつけられることで素晴らしいゲームエンジニアが生まれます! ですから Hackweek は、皆さんの問題をより良く解決できるようにしていくための、Unity の長期的な投資でもあるのです。

Unity での仕事や現在募集中の職種については弊社ウェブサイトの「Careers」のページをご覧ください。

2018年7月4日 カテゴリ: ニュース | 7 分 で読めます

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