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Unity Hackweek 2019:困難な問題に取り組んで、チームスキルを構築する

2019年7月8日 カテゴリ: ニュース | 9 分 で読めます
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年に一度、Unity と私たちのエコシステムから 700 人以上を人里離れた場所に集めて、技術、コーディング、プロセスに関わる困難な問題を解決せよと指示を出したら一体何が起きるでしょうか?集まった人たちに求められたことは、創造性を解き放ち、盛んにコラボレーションし、多様な視点を取り入れよ、というものでした。

6 月 23 日から 28 日にかけて開催された Hackweek に参加するため、今年は世界中から数百人がデンマークの農村に向かいました。そして全員がひとつの建物に集まって、無数の課題に取り組むためにブレーンストーミングを行い、共に楽しみながら問題解決のための作業に打ち込みました。

年に一度のこの集まりは、Unity にとってどのような意味を持つのでしょうか。

グローバルの R&D 人事部長を務める Anders Johansen に聞いてみました。「簡単なことです。私たちは従業員に投資をするからです。そしてこの投資が私たちの製品のユーザーに数多くの成果物をもたらすのです。私たちはこの考え方を見失うことはありません。そして私たちはカレンダーに丸 1 週間線を引き、その間は普段の仕事から自分たちを解放するのです。この時間はコラボレーションと多様性、イノベーションにあふれた時間となるのです。」

さらに、エンジニアリング担当役員の Brett Bibby は付け加えて、「Hackweek の一番良い点は、世界中から集まったエンジニア、アーティスト、プロダクト関係者、それにカスタマーやパートナーまでが一堂に集まり、活発な共同作業を行うことです。私たちは丸 1 週間集中して作業します。そしてその作業から、いつも信じられないような洞察や成果物が出てきて、私たちのロードマップに新たな情報を与えたり、私たちの製品やサービスに進歩をもたらしてくれるのです。」と述べます。

選びきれないほど多くのプロジェクト

参加者が集まった日曜日から活気にあふれるイベントが始められました。この日の参加者はゲーム開発の基礎を学ぶ「Unity Bootcamp」か、幅広いトピックについて 10 分以内でプレゼンテーションを行う「Lightning Talks」のどちらかを選んで参加しました。

Hackweek の一週間で取り組むものとして、事前に約 200 のプロジェクトが登録されていました。そこには、Unity のテクノロジー、プロダクト、サービス、その他興味深いプロジェクトに関して、想像しうる限りのトピックが網羅されていました。例えば、DOTS とグラフィックス技術の新たな地平を描き出すプロジェクトや、エディターやユーザー向けサービスのようなプロダクトの「ドッグフーディング」、小さくまとまった機能や改良を実現するハック、バーチャルセットのイノベーション、プレイヤーの幸福度の計測、アーティスト向けの新しいツールの開発、ゲーム作り、「Unity for Dance」のような新しいユースケースの模索など、実に多種多様なプロジェクトが登録されました。

ソフトウェアテストエンジニアの Illia Komendantov は、この想像力をかきたてるプロジェクトのリストの中から、将来の DOTS の活用に関する興味深いプロジェクトを選択しました。

「私は一見『狂った』ように見えるアイデアに取り組もうとするチームにも自由に参加できることが、Hackweek のとてもいい点だと思います。そして各自のバックグラウンドや課題に対する専門知識の深さに関係なく、それぞれが違った角度からその課題について考え、最もクリエイティブかつ各自の力を活かせる手段でその課題を解決しようと試みるところも大好きです。私にとっては、こうした活動ができるということが Unity のカルチャーの最もいいところを表しているのです。」

ドキュメンテーションのバグに挑む

ドキュメンテーションチームのチーフテクニカルエディター、Siobhan Gibson は「Attack the Docs!」プロジェクトを立ち上げ、そのリーダーを務めました。「私たちのプロジェクトでは、Unity のユーザーマニュアルの中で最もパフォーマンスの悪いページのバグをすべて解決することを目指しました。最もパフォーマンスの悪いページというのは、月ごとの閲覧数が最も多く、かつユーザーからの評価が最も低いページのことです。」

ドキュメンテーションチームは、新しく作られたページにはチームで定める品質基準を適用することができていましたが、古いページまで手を回す余裕がいつもあるわけではなかったのです。

Hackweek の間、Gibson のプロジェクトには 10 人のコアメンバーが参加し、その他に 20~30 人がトラブル解決の手助けのために何かしらの形で関わりました。彼女が Hackweek 流のやり方について一番気に入った点は何だったか聞いてみました。「私が良かったと思うのは、関わった全員が各自の経験の深さによらず意味のある貢献ができた点です。課題が何であるか理解して、その解決方法を調べる能力が重要だったのであり、そしてそれは Unity の人ならみんな持っているものですから。」

Gibson のプロジェクトの成果はどうだったでしょうか。「4 日目までに、私たちのチームは 150 ページ分の問題を解決しました。これで次の段階に、つまりページのパフォーマンスによらず、全員がすべてのページの問題の解消に『挑む』ことができる準備が整いました。」

At the last count, we improved 202 docs, and resolved 1882 bugs. That number is still climbing this morning.
I'm so proud of this project, and this incredible team for bringing their enthusiasm, focus and spirit. Feeling a bit overwhelmed by it all ? #UnityHackweek #Unity3D pic.twitter.com/m8yE1NfEY4

— Siobhan Gibson (@siobhangx) June 28, 2019

プレイヤーとしての幸福にフォーカスする

プロダクト/エンゲージメントイノベーションのディレクターを務める Kaisa Salakka は、プレイヤーがゲームプレイ中にどのように反応しているかをより深く理解するために、「Player Hapiness」プロジェクトに参加しました。

「このプロジェクトが掲げていた課題は、これまでリスキーだからという理由で私たちのグループのロードマップでは優先度を低くつけているものでした。しかし、うまくやれれば開発者にとっては大きな見返りが望めるものでもありました。それに、普段働いているのとは別の人たち、別のデバイスで仕事ができるというところがとてもクールなプロジェクトだったのです。」

Hackweek がキックオフした時点では、このグループはまだいろいろな可能性を模索している段階にありました。アイデアがだんだん形になってくるとグループの士気も高まってきて、グループが描いたソリューションを実現するために必要なスキルを持っている人をどんどんグループに引き入れていきました。

Kaisa にとって、Hackweek が体現する Unity カルチャーの美点とは何でしょうか。「さまざまな人物を 1 か所に集めて、イノベーションを促進できる点です。私たちは私たちに刺激をくれる人、特にいつも一緒に働いてはいないけど、そうした刺激を与えてくれる人を集めて『ドリームチーム』を結成することができます。そういうチームのメンバーはみんな、新しい素敵なプロダクトのアイデアをくれるのです。」Kaisa のチームには、エンジニア、データサイエンスの専門家、プロダクトマーケティングのマネージャー、プロダクトマネージャー、UX/UI デザイナーなど、さまざまな人材が集いました。

Kaisa のチームの成果はどのようなものだったでしょうか。「たった 1 週間で、1 つのソリューションをまるごと作り上げることができたのです!」

新入社員もベテラン社員も一緒にゲーム作り

Hackweek が正式にキックオフとなる前の日曜日、多くの人たちが「Unity Bootcamp」ハンズオンに参加しました。

「私はまだ Unity に入社して 3 週間でしたから、Hackweek は会社や同僚への自己紹介も兼ねたものとなりました。」開発者向けコアサービスチームのリード、Jo Riber はそう語ります。彼女は「Waffle Madness」というゲームを作りました。「ゲームを作るのが Unity を学ぶ手っ取り早い方法だと思ったからです。ワッフルを題材にしようと思ったのは、私の娘がよくワッフルを焼くからですけれどね。何か娘のために作れたら素敵だと思ったんです。」

EMEA 地域上級法務担当の Laura Greenberg は「Hangry Monster」を作りました。「Hackweek ではプロダクトをどのように使うか学べるし、私たちもプロダクトに集中することができます。そして会社はこうした取り組みが重要であるという信念を持っています。なので、Hackweek は楽しく、チームワークを強化し、また参加者はさらに多くのことを学ぼうという意欲を持つのです。」

エンジニアリングのセクションマネージャー、Rósa Björk Einarsdóttir は、「Learn My Number」というゲームを作りました。このゲームはたとえば彼女の娘のように、小さな子供たちが両親の電話番号を覚える方法を学べるゲームです。そうして作ったゲームのほかに、彼女の Hackweek で得たものは何だったでしょうか。「Unity という会社がリスクを承知で、イノベーションに投資しようという姿勢を見せているところが素敵だと思います。知らなかった人と出会ったり、新しいことを学ぶ時間を持ったりできて良かったです。」

機械学習から学んだこと

Kirk Chen、Leon Chen、Greg Chambers は、日常の業務の一環で Unity が稼働させているサービスの一部のモニタリングをしています。彼らの悩みは、サービスの異常に対処する新しいツールを開発する時間がなかなか取れないことにありました。

彼らが Hackweek で取り組んだプロジェクトでは、大規模なデータセットに潜む異常を、機械学習技術を使って自動検知する方法について検討しました。彼らのチームの成果はいかほどのものだったでしょうか。テスト関連の上級ソフトウェア開発エンジニアである Greg Chambers は「手ごたえのある成果が得られた」と言います。「今回考案したアルゴリズムと同じものを使って、将来のサービス異常のトレンドを予測したり、より大規模にジョブを自動化したりすることも可能だと思います。今回のプロジェクトの成果を Unity のコネクティッドサービスでも役立てられればと思います。」

日常業務から解放されて、ユニークな課題に取り組む機会について彼らはどう考えているのでしょうか。「Hackweek は Unity で働く人や開発者に創造性を発揮するきっかけを与えてくれます。Hackweek では新しいアイデアを検討する機会がいくらでもあります。そこに限界はないんです。」上級ソフトウェア開発エンジニアの Kirk Chen はそう語ります。

「Women in Gaming」の活動

Hackweek を始めるにあたって、Unity のインクルージョンチーム主催の大規模なブランチパーティが開催されました。R&D、教育、プロダクトのチームなど、Unity のあらゆる部署から 120 人を超える女性メンバーが参加し、さらに外部から 50 人の才能にあふれる開発者や技術者を招くという会でした。ここに招かれた人たちはブランチだけでなく、Hackweek にも参加していったのです。

ブランチパーティに参加した女性メンバーたちは、エンジニアリング担当役員の Brett Bibby をはじめとした Unity のリーダーと直接話し、パーティの朝の時間をネットワーキング、コミュニティの構築や、互いにそれまで歩んできたキャリアについて語り合うための時間として使いました。

私たちは、「Women in Gaming」への参加者に、R&D やゲーム産業におけるダイバーシティとインクルージョンを促進するため、Hackweek に参加してはどうかと提案しました。Unity はより幅広い視点を持つことでより良いアイデアを導けると考えていて、Hackweek はその考え方のまさに中核をなすイベントとして、また、R&D による唯一にして最大の投資として、毎年開催されているイベントだからです。

「今年は、実にさまざまな文化圏や国出身のゲストや Unity 従業員を参加者として迎えることができました。」LotteMakesStuff の Lotte May 氏は語ります。「たくさんの人に出会い、その仕事についてお聞きする機会を得られたことは非常に良い経験となりました。ゲームやテクノロジーのセクターは、いまだにダイバーシティにまつわる問題が起きる可能性があります。セクター内に女性が少ないというだけでなく、その他の点においても多様性に乏しいのです。その点、トルコ、インド、ロシアなどの出身の女性とお話しできたことはすごいことです。」

このイベントは来年も開催される予定です。また、このイベントの流れをくむ、さらにダイバーシティにフォーカスした別のイベントを Unity で開催したいとも考えています。

Hackweek でパートナーとの関係を深める

Unity エコシステムは広大で、提携している会社も、ArenaNet、ARM、Google Cloud、Havok、Intel、Ludia、Mozilla、Nordeus、Quixel、The Pokemon Company、Ubisoft、Zynga など、幅広い分野の会社を網羅しています。今回、Unity はデンマークにある 60 以上のパートナーや企業にイベントへの参加を呼びかけました。

Google Cloud のカスタマーエンジニアである Moe Sy 氏は、Google Cloud チームからの 3 人の参加者の 1 人であり、Unity エディターでのワークフローのすべてを体験し学習する機会を得る絶好の機会として Hackweek へ参加しました。「丸 1 週間、エディター機能をじっくり学び、幅広い機能を見渡すために使えたことは純粋に楽しく、貴重な体験でした。」彼は Unity の専門家の助力を得つつ、Google Cloud について彼に質問してきた人たちに彼自身の専門知識もシェアしました。

Google Cloud のクリエイティブディレクターである、Simon Donovan に、Hackweek の最も重要なポイントと、Unity のカルチャー全体についてどう思うか聞いてみました。「Hackweek は実に素晴らしい場です。ここに参加している人たちは、役員レベルに至るまで全員とても接しやすいのです。また、R&D 担当の役員が、参加者全員にこの 1 週間はコーディングに専念し、会議の予定を入れ過ぎないように要請するメールを出したというのもすごいことだと思います。Unity には 2000 人ほどの従業員しかおらず、かつ数百万人にインパクトを与える技術やツールを提供しているにも関わらず、です。」

遊ぶな、仕事だけしろ...というのは無し

多くの参加者が 1 週間の間ずっと各々のプロジェクトに打ち込んだわけですが、スポーツやレジャーに繰り出すチャンスもたっぷりと用意されていました。ジャガー(Jugger)やラウンダーズ(Rundbold)などのアウトドアゲームに興じる人もいれば、ランニング、ワークアウト、サイクリングに繰り出したり、あるいは静かな内省の時間を取る人もいました。参加者が集まって食事でき、スナックや軽食も豊富に提供されました。

60 秒で発表、そしてまた来年!

Hackweek の 1 週間、参加者はそれぞれのプロジェクトに真剣に、そして互いの力を合わせて取り組みました。プロジェクトが停滞したり、手戻りすることケースももちろんありましたが、小さなひらめきや思わずハイタッチしたくなるブレークスルーがたくさん生まれました。そして金曜日のお昼前に、すべてのチームは Hackweek の成果を披露する 1 分間のビデオを提出しました。各チームの成果は大きなものから小さなものまで、また実に人間的なものからテクニカルなものまで、多岐にわたりました。

最も重要なことは、2019 年の Hackweek でも、Anders Johansen が総括したように、「多様で、クリエイティブで才能のある人材を一堂に集め、難しい問題を解決する方法を探すように促すと、実際に解決法が生み出される可能性があるし、時には驚くような解決法が出てくることがあることを示した」ことです。「私たちは、この 1 週間で私たちが成し遂げたすべてのことを手にして、これからの 1 年間に起きる、創造的なエネルギー、学び、そして新しく見出されたつながりの大きな波に乗って進んでいきます。」

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