もしもあなたが、どんなエキスパートにでもなれるとしたらどうでしょう?映画『マトリックス』で、登場人物のトリニティーとネオがヘリコプターと遭遇するシーンがありますが、2 人とも操縦方法を知りません。トリニティーがタンクに電話を掛けて、B212 ヘリコプターのパイロットプログラムをリクエストします。たった数秒のうちに知識が転送されて、2 人は空中へと飛び立ちます。
私達はまだ、作業現場における複雑な指示を脳に直接ダウンロードできるまでには至っていませんが、クラウドやインターネット・オブ・シングス(IoT)、空間コンピューティングなどの技術によって、それに近いものを提供することは可能です。
産業組織のために拡張現実やバーチャルリアリティーによるソリューションの開発を行う独立系ソフトウェアベンダーである Taqtile を招いて開催した最近のウェビナーでは、Microsoft HoloLens 2 や Magic Leap One などの、Unity がサポートしている「空間コンピューター」が、現場作業員のタスクと関連データの視覚化・教育・学習・遂行にどのような変化をもたらしているかをご紹介しました。
産業人材の技能不足が深刻です。アメリカ合衆国だけでも、技能を要する製造職の半分は人材が確保されていない状態です。そうした技能を要する職への応募者の人数はさらに少なく、応募した場合でも必要な技能を備えていないことが往々にしてあります。
インターネットと共に育った「デジタル世代」が求職者となるこの時代において、賢明な判断力を備えた組織は、新しく参入して来る現場作業員をサポートするに当たってのアプローチを見直しています。AR によるトレーニングとメンテナンスを用いれば、文脈に応じて必要な時と場所においてデータアクセスを提供することが可能となり、ヘッドアップディスプレイを使ったハンズフリーの方式で効率的に知識を習得することができます。
重要なタスクの遂行方法の習得には現場での密接な指導が鍵となります。空間コンピューティングと IP 接続を用いれば、指導員と学習者が同じ部屋にいる必要さえなくなります。熟練した技能を持つ指導員が、離れた場所にある環境を把握し、その環境にインタラクトしながら学習者とリアルタイムに相互コミュニケーションを取ることが可能になります。つまり、指導員が作業員の視点で「見ながら」彼らをガイドすることができます。これは、データの持続接続があり、指導可能な熟練者がいる場合には、理想的な方法です。
もうひとつのアプローチは、保存された作業手順を使用してタスクの指導および現場でのトレーニングを行う方法です。多くの状況においては、熟練者によるリアルタイム遠隔トレーニングよりも、このほうが遥かに柔軟で実行しやすいでしょう。遠隔地の熟練者との接続設備や、指導に加われる熟練者の有無に依存しないからです。熟練者の知識を「オンデマンドで」共有して、複雑なタスクを遂行する作業員をサポートすることができます。
上述のウェビナーで Taqtile は、ワシントン州の West Point Wastewater Treatment Plant(ウエストポイント汚水処理施設)のケースを紹介しました。2017 年、施設の破滅的障害により、未処理の汚水がピュジェット湾に流出してしまったのです。調査の結果、ここまで大規模の事故となった要因のひとつは十分なトレーニングの欠如であることが判明しました。郡はこの問題に対処すべく、AR を中核に据えてトレーニングプログラムを改良しました。
Taqtile が Unity を活用してどのように拡張現実のトレーニングとメンテナンスに革新をもたらしているかを詳しくお知りになりたい方は、Unity の提供するケーススタディーをご覧ください。また、Unite Copenhagen では、リアルタイム 3D が産業にもたらす変化についてご紹介する講演が、およそ 30 件、Taqtile その他によって行われます。(訳注:イベントは好評のうちに終了しました。)
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