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超高速でアニメーション広告キャンペーンを打つには ー Unity でやっちゃおう

2020年7月28日 カテゴリ: ゲーム | 8 分 で読めます
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広告代理店が Unity を使って Nike の広告キャンペーンを実施し、ゲーム風の見た目になったトップアスリートたちが動き回る 4 本のワクワクするような動画広告をわずか 1 か月で制作した様子をご覧ください。

ナッシュビルを拠点とする広告代理店、IV Studio に所属するアーティストたちは、単に広告のプロ集団であるというだけでなく、ゲームにも精通しています。このことが、4 本のビデオからなる最新の Nike スニーカーのドロップ広告キャンペーンを手掛けることができた理由です。彼らは Unity を使って、キャンペーン向けの制作を 4 月に始め、5 月で制作を完了することができたのです。

Zachary Dixon 氏(Zac)は米テネシー州ナッシュビルのアニメーションスタジオである、IV Studio の共同設立者兼エグゼクティブクリエイティブディレクターです。

彼と Samuel Cowden 氏は 2012 年に IV Studio を共同で設立し、ビデオ制作とアニメーションの両方をカバーするクリエイティブビジネスを展開しています(ゲーム開発事業も小規模ながら行っています)。彼らはすぐにアニメーションこそがスタジオとして注力すべき分野であることを見出し、それ以来、Reddit、Amazon、Netflix、Bad Robot、クリーブランド・ブラウンズ(NFL)、そして今では Nike など、多くの素晴らしいクライアントと仕事をする機会を得ています。

私たちと Zac が会うのはアヌシーで開催されたアニメーション映画祭以来のことです。彼は、Unity のオンラインセッション「Join the Real-time Animation Generation with Unity」にゲストパネリストとして参加しました。Zac は、彼のスタジオがブランドの広告代理店と一緒に Nike のスニーカー発売に向けたビデオキャンペーンの制作で Unity を使用したことについて、多くのことを語ってくれました。

これから、Nike のアバター広告のメイキングを見てみましょう。これらはすべて、Unity を使って作られました。

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新しいツールを試すゲーム

Zac のスタジオでは、フレームバイフレームのアニメーションやモーショングラフィックスのデザインによるアニメーションから、3D キャラクターやハイエンドな CG 作品まで、あらゆる種類のアニメーションを制作しています。

「クライアントが私たちのところに来れば、私たちは案件の内容を見て、彼らが解決しようとしている問題を見ることができます。彼らが伝えようとしているメッセージを見て、適切なスタイルを選んだり、複数のスタイルを組み合わせたりして、顧客の依頼にピタリと合うものを提供するようにしています。」

数年前、Zac のスタジオはビデオゲームを Unity ではじめて作り、Unity Learn で Unity の使い方をすべて学びました。「それ以来、私たちはこのプラットフォームが本当に好きになりました。本当に、本当に楽しんでいます。」

従来のアニメーションの世界では、1 フレームのレンダリングに 1 時間かかることもありますが、ビデオゲームのエンジンは毎秒 60 フレーム、またはそれ以上の速度でレンダリングを行います。「これは、画像のレンダリングについての全く新しい考え方です。私たちは、それが可能にするビジュアルの力を目の当たりにしました。」

スタジオの仕事に占める 3D の割合が大きくなってくると、スタジオのメンバーは「クライアントの仕事や 3D プロジェクトに取り組むための様々なツールの 1 つとして、Unity を取り入れたらどうなるだろうか」と考えました。

レイアウトから照明、合成、エフェクトまで、非常に多くの異なる部門がありますが、Zac は、Unity がそれらを技術的に 1 つのプラットフォームにまとめてくれたことを高く評価しています。「ディレクターであり、コンポーザーでもある私にとって、これは素晴らしいことです。いつでも必要なものを取りまとめ、いつでも作業でき、いつでも取り替えることのできる、さまざまなツールをすべて提供してくれるからです。」

思い切りやろう

Nike のデジタルマーケティング代理店が、同社が新発売するスニーカーの春の広告キャンペーンに向けたピッチに IV Studio を招待しました。エージェンシーからの依頼は、突き詰めると「この 4 人のアスリートをビデオゲームに登場させたい」ということでした。IV Studio のチームは「私たちはビデオゲームを作ったことがあり、Unity でのアニメーション制作には慣れているので、Unity を使う予定です」と伝えました。これが功を奏し、IV Studio は見事案件の獲得に成功しました。

要件は控えめに言っても厳しいものだったようです。「あるビデオは激しく地面が揺れて建物が倒壊するシーン。別のビデオでは竜巻や嵐など、気象表現のエフェクトが入ってきます。私たちは『やるしかない、思い切ってやるしかない』と自分に言い聞かせました。しかも、時間はいつもの半分しかなかったのです。」

3 つのモデルのシューズの発売に合わせて、4 人のアスリートをアニメーション化する必要があり、それぞれ 5 つの Instagram ステッカーと GIF が必要でした。ステッカーはすべて彼らが独自に作ったキャラクターアニメーションでした。Brittney Griner は指の上で靴を回転させています。Ben Simmons はカンガルーのように画面を飛び回り、De'Aaron Fox は堂々としたストライドで歩いています。Luka Dončićはコートの上空に浮かび上がります。これらはすべて、彼ら自身が所有するビデオゲームからダイレクトに着想を得たものです。

「最終的に、Unity を使ったおかげでこの仕事をやり遂げ、しかもスケジュール通りに完成させることができました。」

アスリートのアバター

最大の課題の 1 つは、キャラクターを適切に作ることでした。それぞれのキャラクターは、実際のアスリートに似ていなければなりませんでしたが、同時にビデオゲームの中のキャラクターのように見せる必要もありました。

「これまでのプロジェクトでは、キャラクターはすべて頭の中で想像して描いたものばかりでした。今回はそこから大きく転換して、彼らの顔や性格をよく知っていて、彼らを愛してくれているファンの方々にも納得していただけるように、実在のプレイヤーを再現しました。そして、キャラクターをアスリートたちを忠実に再現したものにすると同時に、アニメーション化され、一段と強化された彼ら自身に見えるようにもするということが非常に重要なポイントでした。」

アートディレクターの Michael Cribbs 氏と、Rafa Zablaza 氏と Ivan Lopez 氏のモデリングチームが、何度も修正を重ねながらキャラクターを描き、造形しました。この CM が選手やその友人、ファンの間で成功を収めるためには、キャラクターがその選手だとわかるように作り、いかにも彼ららしい振る舞いをするように動かさなければなりませんでした。

ビデオゲームのような雰囲気をシーンで表現するために、すべてを 3D でレンダリングした後、さまざまなタイプのアニメーションを使用しました。才能あるアニメーターとフレームバイフレームのアーティストのチームが、出力されたものの上に、伝統的な 2D のセルアニメーションの技術を使って、稲妻、風、埃を描き加えていきました。

「最終的には『ビデオゲームとアニメの出会い』という感じで上手くはまり、そのスタイルのぶつかり合いが、この作品を特に新鮮でユニークなものにしています。」

ブザーを鳴らせ

IV Studio は納期に間に合わせるために、必死で作業を進めました。制作のキックオフは 4 月 1 日で、プロジェクトは 5 月 7 日に終了というスケジュールだったのです。

「ずっと全力疾走でした。4 月の 1 か月間ずっと。息子が生まれて 2 週間後にプロジェクトが始まり、その後感染症に気を遣う生活が始まったので、とてもクレイジーな時期でした。また、私たちの初めての完全在宅プロジェクトでもありました。」

Zac によると、プロジェクトの中で最も辛い時期は、最初のビデオを期限内に納品するまでの時期だったと言います。彼らは、新しい Nike のスニーカー、「Air Jordan 1 Mid “Mindfulness”」のリリースと同時にビデオをローンチできるように準備を完了させなければなりませんでした。

月曜日にアニメーション制作に着手し、全体のビデオの最初のドラフトは翌週に提出されるというスケジュールでした。従来のパイプラインでは、最初のドラフトとしてアニマティック(試作版)を納品することが多かったのですが、代理店はクライアントに見せるために、完成版を忠実に再現した最終版のルックデブで全体を見たいと考えていました。

「制作は 1 週間のスプリントでした。アニメーターからラフを入手して、それを Unity でシーンにロードし、アセットへのライティングの設定を始めて、そこを起点にシーンを構築して、見通しを立てていました。パーティクルエフェクト、天候、電気など、すべてをまとめるために全力で走りました。」

最初のレビューでは、代理店から大きな修正依頼が入りました。画面の中の嵐やムードが暗すぎると指摘を受けたのです。IV Studio のチームは全体を明るくする必要がありました。

従来のパイプラインではこの修正には何日もかかってしまいます。また、シーンのライティングを変えるということは、いくつも手戻りが発生することを意味します。従来のパイプラインでは、すべてを再レンダリングすることはほぼ不可能だったでしょう。

しかし、リアルタイム環境での作業だったので、修正を半日くらいで終えることができました。

広告の未来

従来、広告プロジェクトの仕事とは、30 秒のスポット広告を制作することでした。

今も 30 秒のスポット広告はありますが、その他に 10 秒のビデオを 4~5 本流します。また、Instagram 向けであれば、3 秒のストーリーを 10 本作ります。

また、広告はインタラクティブなものになってきています。今や広告プロジェクトでは、拡張現実(AR)ステッカーまで必要とされるようになりました。

「それはこれからやってくることです」と Zac は考えています。「広告の未来は、これから先にも広がり続けています。また、広告が進化していった先では、それはある 1 つのものではなくなるでしょう。印刷広告だけでも、ビデオ広告だけでもなく、これらの様々なプラットフォーム全部を巻き込んだものでなければなりません。人々はどこでもブランドと関わっているからです。今、人々は非常に多岐にわたる方法でブランドに関わりたいと考えているのです。」

ゲーム開発者はある程度の期間にわたり、リアルタイムのインタラクティブ技術を使用してきました。アニメーターの仕事には長い伝統と提供できる幅広い技術があります。これらのコミュニティがお互いから学べることはたくさんあります、と Zac は言います。これらのアートの形態の間にあった境界線が曖昧になってきています。

Zac と彼のチームは新しいツールを使うことが大好きです。「新しいツールは脳内の新しいアイデアを解き放ってくれると考えています。そして、クライアントが興味を向ける新しい可能性を引き出すことができると思います。また、広告スタジオがリアルタイム性やインタラクティブ性を無視することは、まったく近視眼的な振る舞いだと感じます。」

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アニメーションプロジェクトで Unity をどのように活用できるか。皆様もその可能性を発見してみてください。

2020年7月28日 カテゴリ: ゲーム | 8 分 で読めます

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