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キットバッシングを使って迅速なコンセプトデザインを実現しよう

, 8月 11, 2020

Unity で小規模なチームを結成し、Snaps と KitBash3D のアセットや、その他のアセットストアパッケージをさっと組み合わせて、小さな労力と多数のプレハブでどのようなものを完成されられるかの実証を行いました。

「キットバッシング(kitbashing)」とは、異なるアセットを組み合わせて、新しく独自のものを作ることです。このアイデアは、模型を趣味とする人たちが、鉄道模型や飛行機のキットをマッシュアップして、独自に作り変えたプロジェクトを構築するという手法に由来しています。今日では特殊効果やゲームデザインの世界で人気の手法ですが、古くは『サンダーバード』、『2001 年宇宙の旅』、『 スター・ウォーズ エピソードIV 新たなる希望』などの大ヒット作でも活用された手法であり、この実績はキットバッシングが豊かなストーリーテリングの世界を生み出す可能性を示しています。キットバッシングによって、チームはゼロからすべてを構築するよりもはるかに迅速にプロトタイプや洗練された最終プロジェクトを作成することができます。

このデモのビジョンは、陰鬱で暗く湿った地面から、カメラが上昇するにつれて暖かく乾燥した地平線へと視点が変化していく場面を融合させることで、SF 的な環境の新鮮な表現を得ることでした。このドラマチックな雰囲気は、Unity の HD レンダーパイプラインで、SnapsKitBash3D のアセットをキットバッシングして生み出されました。Unity は KitBash3D と密に連携して、同社の高品質なパッケージライブラリを Unity アセットストアに収録するための作業を進めています。このブログ記事では、制作プロセスの概要と、使用したキットとエフェクトの一部を紹介します。皆様にキットバッシングで生み出したプロジェクトやプロトタイプをレベルアップさせるアイデアを見つけ出していただければ幸いです。

キットバッシングのパイプライン

私たちの制作は 3 つのフェーズに分かれていました。最初にクリエイティブなコンセプトを開発し、 Snaps と KitBash3D のライブラリから、アート面のディレクションをサポートするアセットを絞り込みました。これらのパッケージをライブラリのシーンに追加して素早く開発し、基本的なライティングでグレーボックスのモックアップを作りました。プロジェクトは 3 つのシーンに分け、チームメンバーが背景、照明、コアとなる環境について、独立して作業できるようにしました。第 2 フェーズでは、グレーボックスを KitBash3D と Snaps アセットに置き換えていき、最後にライティング、ビジュアルエフェクト、シェーダーの更新を行い、デモを洗練しました。

このプロジェクトを開発した目的は、エンジン内でキャプチャーされたゲームのトレーラーや、AAA クラスのゲーム内オープニングシネマティックのルックアンドフィールを作り出すことでした。私たちのチームはビジュアル機能を最大限に使い、また、ビジュアルの品質と忠実さを最大化する設定にしました。つまり、LOD(詳細度)レベルは 0 か 1 に設定してできるだけ詳細な描画をするようにし、加えてビジュアルエフェクト、ライティング、平面反射ボリュームを多用しました。また、フォワードレンダリングをオンにして、マルチサンプリングアンチエイリアシング(MSAA)に加えて、テンポラルアンチエイリアシング(TAA)を使用しています。プロトタイピングでは、これらのオプションは簡単に実装でき、高速な反復作業が可能です。また、シーンをクリーンに保つことで、制作中にビジュアルエフェクトや平面反射などの処理の重い要素をオフにすることもできます。そのため、開発と反復的な修正を素早く行い続けることができます。

キットバッシングのアセット

私たちは、未来的なサイバーシティの雰囲気と東アジアのビジュアルを参考にした KitBash3D パッケージを組み合わせて、環境の美しい背景のほとんどを作成しました。 KitBash3D は、Unity アセットストアの初めてのライブラリパートナーです。同社はビジュアル環境の制作に使える高品質な 3D アートアセットの強力なライブラリを構築しており、そのアセットは、ディズニー、フォックス、マーベル、HBO などの大手映画制作会社や、Ubisoft、EA、テンセントなどの AAA スタジオ、および、数々のインディーズスタジオでも使用されています。私たちのプロジェクトでは「Neo Tokyo 2」と「Neo Shanghai」パッケージを使用してシーンを作成し、そこに「Cyber Streets」パッケージの小道具を配置し、環境をエッジの効いたネオンの輝く SF 風に仕上げました。

前景の多くは Unity 自身が公開しているテーマ別のモジュール型パッケージ Snaps を使って制作しました。Snaps には Snaps Prototype、Snaps Art、Snaps Art HD の 3 つのストリームがあります。Snaps Prototype は簡素化された、位置合わせのしやすいアセットで、プロジェクトのブロックアウトを素早く作るのに適しています。Snaps Art はプロトタイプに肉付けを行うのに適したモジュール型の環境と小道具のアセットで、Snaps Art HD は、洗練された、AAA 品質の高解像度のアセットで、シーンにディテールを加えるために使えるものです。今回は、3 つの Snaps Art HD パッケージ、「Asian Residential」、「Construction Site」、「Sci-Fi Urban」から要素を選び出し、デモに組み込みました。

Snaps の Asian Residential パッケージの建物プレハブを縦に反転させ、複製し、オフセットして、長い壁を作成した。

デモで使用したアセットのほとんどは Snaps と KitBash3D ライブラリからのものですが、他にもいくつかのアセットストアパッケージを使用することで、主要なエフェクトを実現することができました。 AutoProbe を使ってライトプローブの配置を自動化して時間を節約し、同時に Easy Mesh Combiner MT を使ってメッシュを統合し、メッシュレベルでピボットポイントを設定しました。そして Bird FlockFly Particle System で動きを加え、シーンに命を吹き込みました。

また、Spaceship デモプロジェクトからも多くのビジュアルエフェクトを直接インポートしました。このデモは HDRP と Visual Effect Graphを使った Unity デモの 1 つであり、また AAA クラスの製品に使える最適化されたビジュアルエフェクトが、さまざまなプロジェクトにコピーして使用できる形で多数提供されています。このアプローチにより、煙と火花の実装を依存関係を選択してデモから簡単にインポートでき、新しいデモに必要な加工に素早く着手することができました。その他のコンテンツ制作には、Blender を使用しました。

シェーダーとデカール

このプロジェクトでは、ほぼすべてのマテリアルに Lit シェーダー、Layered Lit シェーダー、Decal シェーダーを使用し、発光する標識やデカール用のシンプルなカスタムシェーダーを作成しました。

デカールは、私たちのプロジェクトにさらに磨きをかけてくれます。汚れの蓄積やひび割れのディテールなど、私たちが使用したエフェクトの多くはシェーダーでも実現できましたが、デカールは私たちのタイトな制作スケジュールに対応するための迅速なソリューションであり、また、ディテールの配置の自由度を高めてくれる方法でもありました。

Snaps と KitBash3D のパッケージには、落描き、電柱のサイン、広告などのグラフィック要素が含まれており、これらはデカールに変換することができます。パッケージのマテリアルには、法線とアルファチャンネルのデータが含まれており、そのため、投影されたデカールを作成するには、テクスチャを Decal シェーダーに設定するだけで済みました。

シーンに深みを与えるために、いくつかの異なるデカール素材を作成しました。私たちはこれらの素材を、水たまり、落描き、泥汚れ、看板の表現に使用し、不透明度のレベルや、ソート順を調整して、デカールレイヤーの上に落描きや汚れが描かれるように調整することもありました。

シェーダーグラフを使って水たまりをデカールとして作成しました。このためには、配置の制御と、タイルを反復して並べたように見えなくするためのランダム性の導入が必要でした。シェーダーは、生成済みの 3 つの水たまりの形状を受け取り、ワールド位置に基づいて各マスク間の間隔を広げて水たまりにランダムな形状を与えます。また、水たまりの滑らかさ、形状、色、不透明度の値を微調整するための追加のコントロールも備えていました。

さらにデモツールからビジュアルエフェクトを取り込み、シーンに命を吹き込みました。煙と火花は Spaceship デモから取り込み、ホログラムのコアは Unity の Visual Effect Graph のサンプルプロジェクトのものを使用しました。ホログラムモデルは、深度ベースのカメラを使用してレンダリングします。そのため、正しくタグ付けされたアセットを投影することができます。私たちは簡単なキャラクターと、ちょっとしたループアニメーションを作り、これに使用しました。

ライティング

このデモに求める雰囲気や構図を実現するには、ライティングが欠かせません。このプロジェクトはオフラインのシネマティックとしてレンダリングされたので、最適化の問題よりも、ストーリーテリングに適した雰囲気とカラートランジションを実現することに重点を置きました。何度も繰り返して環境を作成しながらライティングに取り組みましたが、シーンのコンパートメント化された構造のおかげで、さまざまなライティングのアイデアを試すことができ、素早く反復して洗練を重ねることができました。

HDRP はシーンの現実感を押し上げるためのツールやパラメータを提供してくれます。例えば、ネオンサインや看板に間接的な照明効果のための発光するマテリアルを付与したり、近くのオブジェクトにスペキュラー照明のレイヤーを付加するリアルタイムライトを与えたりと、細部にまでこだわりました。私たちは、HDRP で利用可能な最高レベルのシャドウフィルタリング設定を、Contact Shadows および スクリーンスペースアンビエントオクルージョン(SSAO)などのスクリーン空間効果と一緒に使用し、シーンのディテールに肉付けをしています。

ボリューメトリックフォグと密度ボリュームは、シーンの要素を統一し、奥行きを作るために使用されました。HDRP では、高品質のボリューメトリックフォグの設定でスムーズな結果を得ることができますが、このデモは、オフラインでレンダリングされたシネマティックとして作成されたので、私たちは、より目立つネオンサインの近くにポイントライトを配置して、局所的なボリューメトリック効果を人為的に高めることで「ごまかし」をしました。

ポストプロセッシングと洗練

以下に示すものは、HDRP の機能と、ポストプロセッシングエフェクトの一部を使用して、デモの仕上げを行ったところです。

リフレクション

シーンの至る所に反射キャプチャーを配置し、金属やガラスの表面の反射を表現したり、水たまりや光沢のある床の平面反射で、周囲のシーンのディテールを写し込んだりするようにしました。HDRP と平面反射は、8K までのキャプチャを可能にし、レイヤーとカリングシステムは、こうした反射において何を映し込むかを定義する柔軟性を提供します。私たちはレイヤーシステムを使用して、移動するカメラと平面反射をフレームごとに更新して、美しい結果を作り出しました。

シーンの中で目を引く小道具の周りにリムハイライトを作るために、スペキュラーのみのライトをいくつか追加し、シーンの重要なポイントに微妙に視線を導くように配置しながら、背景に対してより目立つようにしました。

ボリュームとビジュアルエフェクト

私たちは、スクリーンスペースのエフェクトのコントロールと、局所化されたカラーグレーディングのために、シーン全体で HDRP のボリュームシステムを使用しました。私たちは、シーン内の主な汎用オーバーライドを グローバルポストプロセッシングボリュームの元で制御し、これらの設定を 1 つの場所で集中管理するようにして、管理をしやすくしました。このグローバルボリュームの設定により、特に、色収差、アンビエントオクルージョン、フォグ、ブルーム、フィルムグレイン、ビネットなど、シーンの異なる領域であまり変化しないエフェクトを 1 つの値で制御できるようになり、システムの管理が容易になりました。

フィルムグレインビネット色収差のようなスクリーンエフェクトは、すべてカメラのレンズやフィルムの不完全な部分を再現するように設計されており、画像が不自然にきれいにならないようにして、CG をよりリアルに見せる効果があります。これらのエフェクトの設定には非常に小さな値を設定すれば十分です。それだけで、画像にしっかりと映画のような雰囲気を出すことができます。

カラーグレーディング

カラーグレーディングは、このデモのアートディレクションに欠かせないものでした。私たちは、局所化されたボリュームを使用して、1 つは地面の領域のために、1 つはシーンの上部近くに配置し、大きなブレンド距離を設定しました。これが、1 つのボリュームから次のボリュームへとシームレスに移行する結果をもたらしました。

HDRP のカラーグレーディングのオーバーライドは堅牢で、ハイライト、中間トーン、シャドウにわたって、色、彩度、輝度を微調整するための多くのオプションを提供します。カラーグレーディングでは、シンプルさが鍵となります。すべてをオーバーライドして複雑すぎるグレーディングにするのではなく、必要なものだけを調整するようにしてください。

色の調整を使えば彩度とコントラストを幅広く調整できるので、これでカラーグレーディングのほとんどすべての部分を行いました。次にリフト、ガンマ、ゲインと、シャドウ、中間トーン、ハイライトエフェクトを使って色をずらしたり、範囲を調整したりして、最後にカラーカーブでさらに細かい調整を行いました。例えば、地面の高さでの素晴らしいコントラストを作成するために、シャドウを暖色系のトーンにカラーシフトして、中間色調とハイライトの寒色系な色相と対比されるようにしました。また、カラーカーブを使用して、輝度対彩度のカーブをオーバーライドしました。このようにして、影の部分を抜き出して彩度を下げ、微妙なコントラストを強調しました。

キットバッシングでシーンを素早く作成しよう

このデモを共有することは、アセットストア初のライブラリパートナーとなり、Unity で心を奪うビジュアル環境を制作しようと考えているアーティストに素晴らしいビルディングブロックを提供してくれることになった KitBash3D を歓迎する素晴らしい方法であると考えています。このデモで使用されている Snaps と KitBash3D のパッケージを割引価格で提供していますので、ぜひご自身のプロジェクトでキットバッシングのパワーと可能性を探ってみてください。

期間限定で KitBash3D の Cyber StreetsNeo Tokyo 2Neo Shanghai パッケージを、30~50% オフでご購入いただけます。また、デモで使用された Asian ResidentialConstruction SiteSci-Fi Urban の 3 つの Snaps Art HD パッケージが 70% オフで提供されます。ちょっと試してみたいという方は、KitBash3D の Neo City Mini Kit を無料でお使いいただき、何ができそうかを確かめていただくこともできます。皆さんがキットバッシングで作った作品にお目にかかる日を楽しみにしています。

さらに詳細をご覧になりたい方は、Unity アセットストアにアクセスしてください。

9 replies on “キットバッシングを使って迅速なコンセプトデザインを実現しよう”

The HDRP allows for high-quality volumetric fog settings to achieve smooth results, but since this demo was created as an offline rendered cinematic, we also “cheated” by placing point lights near some of the more prominent neon signs to artificially boost the local volumetric effect.

We used the color curve to override the Luminance Vs Saturation curve, so the shadows were picked out and desaturated to enhance subtle contrasts.

I’ve been using Kitbash3D for a while now. It’s definitely a useful resource for external scenes.
Glad Unity is partnering with them.
Maybe we can get a version that has prefabs ready for us, instead of the whole kitbash Chunk.

This is very inspiring and I have been waiting for Kitbash to be integrated into Unity. What version of Unity was used to make the demo?

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