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Honda のデザイナーが 1 日で美しいインタラクティブなプレゼンテーションを作れるようにした仕掛け

, 8月 20, 2020

日本にある Honda デザインセンターでは、デザイナーは自分たちの車両コンセプトやデザインを頻繁に経営陣に披露して承認を得る必要があります。そこで、製品にまつわる新しい体験やストーリーを生み出すことに重点を置いた「Honda の強み」のひとつである「コトづくり」を表現するためのより良い方法が必要とされていました。Honda は Unity のプロフェッショナルサービスチームと協力して、Unity の拡張性と Unity スクリプティング API を活用し、簡略化されたカスタム版の Unity エディターを作成しました。その結果、これまで Unity エディターを使用したことのなかった Honda のデザイナー陣が、1 日で車両デザインの優れたインタラクティブなプレゼンテーションを作成できるチームに変貌を遂げたのです。

埼玉県和光市にある Honda デザインセンターは、将来の Honda の自動車や自律型ロボットなどのプロジェクトに向けた、新しいコンセプトやデザインの開発に注力しています。同センターにあるオートモービルデザイン開発室は、デザインやエンジニアリングのプロセスを改善するための新技術の活用において、常に最先端を走ってきました。

2019 年から、Unity は Honda と協力してカスタムの Unity エディターツールを開発し、デザインチームが車両デザイン用のインタラクティブなプレゼンテーションを簡単に作成できるようにしました。このコラボレーションの成果としては、次のようなものが挙げられます。

  • Honda のデザイナーが車両デザインのインタラクティブなショーケースを作成するために、セルフサービスで使いやすくカスタマイズ可能なツールを提供することで、イノベーションが加速された。
  • デザイナーが 1 日でプレゼンテーションを作成することが出来るようになり、ベンダーに仕事を委託して何週間も待つ必要がなくなった結果、大幅な時間の節約を実現した。
  • 各デザインの中で、「コトづくり」の Honda の強みをよりよくアピールできるようになった。

デザインの可視化の課題に対する解決策を求めて

Honda デザインセンターでのプレゼンテーションの様子。Unity 導入以前は、デザイナーはこの画像にあるように、静止した車両のシンプルなリアルタイムビジュアライゼーションを作成していた(画像提供:Honda

Honda の車両デザインチームは、コンピューター支援設計(CAD)ソフトウェアを使用してアイデアを形にしています。しかし、デザインやスタイルに優れた車を作ることは、デザインチームの仕事の一部に過ぎません。

デザインチームは同時に、それが Honda の強みである「コトづくり」に沿ったデザインであることを示す必要があります。「コトづくり」とは、「モノづくりの技術に関するブランドのストーリーテリングを通じて、新しい体験を創造する」ことを意味します。デザインチームはプレゼンテーションするすべての商品にストーリーを持たせ、それが顧客にどのような付加価値をもたらすのかを示す必要があります。

Honda のデザイナーの手元には、経営陣と共に「コトづくり」が出来ているかを確かめるために、可視化、プレゼンテーション、およびレビューを行うツールがありませんでした。そこで、まずはこの作業を外部に委託することにしたのです。ベンダーは Honda のデザイナーと協力して、デザインを見せるための高品質な写真やビデオを作成しましたが、これはいくつかの理由から理想的ではありませんでした。

  • 長時間の制作タイムライン:デザイナーは、アイデアを反復修正して素早く提示する必要がありますが、ベンダーは制作に数週間を必要とすることが多く、要求された時間内に修正を行えないことがありました。
  • 追加コスト:これらのプロジェクトの外注にもチームの予算を使うことになり、また、車両デザインは最後の段階で急速な反復修正を繰り返すものなので、修正依頼が重なり、コストが膨らむことがありました。

「最高のビジュアライゼーションツール」

Unity を使って作られた、Honda のゼロエミッション都市型電気自動車「Honda e Urban EV」のプレゼンテーション

Honda は、デザイン開発の初期段階でこうした課題を解決するために Unity に着目しました。「様々なアイデアをスピーディに可視化し、検証出来るビジュアライゼーションツールが必要でした。」と、本田技術研究所デザインセンター オートモービルデザイン開発室の佐野英樹氏は語ります。「Unity との連携により、オペレーション時間を最小化し、クリエーション時間を最大限に活用することが可能になり、今まで表現が困難だった人や暮らしの中でホンダの商品がどう関わっていくかなど、ストーリーやコトづくりの可視化が行えるようになりました。」と述べています。

佐野氏は、彼のチームで開発中のカーモデルのプレゼンテーションを急遽制作することになったときのことを話してくれました。従来の制作ワークフローでは、タイトなスケジュールの中での制作は不可能でした。

「今までの常識だと数週間かかっていたプレゼンテーションをたった 1 日で完成できるようになりました。」と佐野氏は言います。「Unity を使うことで、従来のプロセスに比べて、最終的なプレゼンテーションを格段に速く完成させられるようになり、驚いています。Unity は、私たちの将来のニーズについても、それに合わせて適応や拡張させることが可能な最高のビジュアライゼーションツールだと思います。」

これらのプレゼンテーションの作成の容易さに加えて、Unity を使えば、プレゼンテーションの見せ方についても、さらに柔軟性を持たせることができます。Unity を使ってリアルなレンダリングや動画を作成することができますが、デザイナーはサポートされている PC 上でランタイムアプリケーションとして Unity プロジェクトを実行することもできます。レビューミーティングの際に、インタラクティブなリアルタイムプレゼンテーションを見ながら、シーン、天候条件、時間帯など、車両の置かれるさまざまな条件を調整して、どのような見え方になるかを可視化することができるのです。

Honda のカスタムエディターの内部を探る

Honda では Unity エディターを拡張し、Unity の専門知識がそれほど深くない車両デザイナーのニーズにも対応する

Unity の拡張性により、チームは C# と Unity スクリプティング API を使ってエディターをニーズに合わせて拡張することができます。Unity と Honda が共同開発した、Unity の初心者でも 1 日でインタラクティブなデザインプレゼンテーションを作成できるカスタムソリューションについて、詳しく見ていきましょう。

さまざまなスキルレベルに合わせた複数のモード

高精細でフォトリアリスティックなビジュアルコンテンツを重視していた Honda は、Unity の HD レンダーパイプライン(HDRP)を早くから採用していました。しかし、Honda にいた Unity 開発者とは違い、Honda のデザイナーには HDRP や Cinemachine、タイムライン、NavMesh などのツールやコンポーネントを活用するための技術的なノウハウがありませんでした。

Unity の日本チームは Honda と密接に協力して、HDRP をベースにしたカスタムソリューションを開発しました。出来上がったプロジェクトでは、以下の各機能を備えています。

  • Simple モード – このモードでは、カスタムインスペクターや HideFlags などの Unity スクリプティング API を駆使して、必要のないインスペクターやヒエラルキーのコンポーネントを非表示にして、シンプルなエディターのユーザーインターフェイスを提供します。通常はサブメニューやコンポーネントに配置されるオプションは、単一のカスタムコンポーネントにまとめられ、Honda のデザイナーに簡素化された UX を提供します。
  • Advanced モード – Unity エディターの標準的なインターフェースを表示するモードです。これは Honda の Unity 開発者のためのもので、リアルタイムレイトレーシングや VR 体験の作成など、Simple モードでは利用できない新しい機能を、デザイナーと協力して活用するためのものです。

Simple モードでは、Honda のデザイナーのために用意されたカスタムコンポーネントにアクセスするためのシンプルな UI が表示される

車両システム

リギングでは、Honda のデザイナーは、前進・後退・左右移動など、車両のタイヤの回転を簡単に設定することができる。この画像は Honda e Urban EV の例

Honda のデザイナーは、Autodesk Alias AutoStudio などのプログラムを使って車両をデザインする際に、これらのモデルを FBX ファイルとして、またはネイティブの CAD(Pixyz Plugin で変換)として Unity にインポートすることができます。Unity の車両コンポーネントを使用することで、Honda のデザイナーは、走行可能な車両を素早くリギングしてアニメーション化することができます(車のドアを開けるなど)。

車両は、事前に定義された経路に沿って走行したり、自動運転やユーザー制御を行うことができます。ユーザー制御オプションの場合は、新しいUnity入力システムを使用して、設計者が自分の好みに合わせてコントロールを簡単に設定できるようにしました。

public InputAction steeringInput;
public InputAction acceleratorInput;
public InputAction brakeInput;

環境システム

このコンポーネントは、時間帯、雨、ライティング、霧など、環境の視覚的特性を管理します。

シェーダーグラフキーワード機能を使用して、シェーダーを一度に異なる状態(雨天、晴天、ライトオン、ライトオフなど)に切り替えられるようになっています。

キーワード機能により、例えば以下のように関数を 1 度呼び出せば同じキーワードを使用するすべてのシェーダーの状態を切り替えることができるようになりました。

if (lights) Shader.EnableKeyword(“_LIGHTS”);

else Shader.DisableKeyword(“_LIGHTS”);

また、レゴのように組み合わせてユニークなロケーションを作成できる 20 以上の環境ブロックのコレクションも含まれています。Honda のデザイナーは、ProBuilder を使用して直接 Unity で新しい環境を作ることができます。環境は、Autodesk Maya などのプログラムを新しい環境を作成することも可能です。

ブロックは Unity エディターではプレハブとして管理されます。また、車両の動きを記述する Cinemachine Path や、AI を搭載した人間のキャラクターの動きを制御する NavMesh サーフェスも追加されており、デザイナーが素早く効率的にアニメーションを作成できるようになっています。

カメラシステム

Cinemachine をベースにしたカメラシステムでは、リニア、ダイナミック(ユーザーによる操作を含む)の両方のカメラシーケンスを簡単に作成することができます。

カメラの設定は、シンプルなスライダーを使って行うことができる

人間キャラクター制御システム

このコンポーネントを使用すると、プレゼンテーションでアニメーション化されたインタラクティブな人間のキャラクターを簡単に作成することができます。Honda のデザイナーは、豊富な機能を備え、洗練された Unity のアニメーションシステム(「Mechanim」と呼ばれることもあります)をベースにした人間のモデルを素早くリギングすることができます。

キャラクターには様々な動きを割り当てることができ、経路に沿って歩いたり、NavMesh コンポーネントを載せて自動的に歩いたり、ユーザーが手動で操作したりすることができます。この例では、Honda は Unity アセットストアにある Akishaqs のスタイル化されたローポリゴンの人間キャラクターを使用しました。

今後の予定

これらのカスタマイズされた Unity エディターツールの現行バージョンは、Honda のデザイナーがリアルでインタラクティブなデザインプレゼンテーションを迅速かつ効率的に作成できるようにすることに重点を置いています。Honda は今後、技術者ではないデザイナーが VR サポート、リアルタイムレイトレーシング、マテリアルの混合、リアルタイムグローバルイルミネーションなどの強力な Unity 機能を利用できるように、同様のツールを作成する予定です。

Honda で行われたようなエディター拡張にご興味を持たれた方は、エディター拡張関連の Unity スクリプティング API の詳細をご覧いただき、独自に拡張していただくことが可能です。また、具体的な要件があり、カスタムプロジェクトの開発をご依頼したい場合は、Unity のエキスパートチームにお問い合わせください。

10 replies on “Honda のデザイナーが 1 日で美しいインタラクティブなプレゼンテーションを作れるようにした仕掛け”

I’m guessing all the custom UI was made with UI Toolkit. It looks like UI Toolkit with how custom things look in the inspector.

Hey Unity Team,

This extension serves as a complete package for the production workflow and shows the real power of the Unity Engine. The scalability of the functions of custom editor and the workflow used is absolutely helpful in order to leverage up the learning mindset while uplifting the development process.

As a Unity developer and a keen learner, I would request Unity Team to create such type of Extensions and make it available publicly which in result will begin a new era of advanced Game Development. This will also ensure that developers are focussed enough to work on new ideas and showcase the tremendous possibilities. It would be also helpful if Unity provides an in-depth tutorial series to build such type of Industry Standard Extensions and workflows.

Thanks for reading and sharing your thoughts, Shubham. Improving workflows for both Unity developers and non-developers (like Honda’s designers) is a continued focus for our team. Stay tuned for more to come!

Glad to hear that. Looking forward to experience such helpful content from Unity easing out the development process.

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