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Sounds Hannam が Unity を使って文化複合施設をインタラクティブな 3D 環境に変えた方法

, 10月 16, 2020

AEC

「Sounds Hannam Project」は、ソウル市龍山区漢南洞にある文化複合施設「Sounds Hannam」を、Unity の HD レンダーパイプライン(HDRP)を使ってデジタル化した建築ビジュアライゼーションプロジェクトです。このプロジェクトでは、マウスとキーボードを使って Sounds Hannam 内の文化施設をバーチャルに探索できるインタラクティブなコンテンツを提供しています。建物内の気になるお店をクリックすると、現在地からそのお店までの最短経路が表示されます。ポップアップウィンドウには、クリックしたお店の詳細が表示されます。

Sounds Hannam のキー操作ガイドと店舗位置の案内図

このプロジェクトでは、高品質なビジュアルを作成できる Unity の HDRP と、コードを書かなくてもノードを使って視覚的にシェーダーを構築できるシェーダーグラフが活用されました。HDRP やシェーダーグラフをはじめとした Unity の最先端技術を駆使して、内部の照明と自然光が重なり合っている箇所があったり、建物の外で木々が風に揺れていたり、葉っぱが光を反射してキラキラしていたり、といったディテールを表現することが可能になりました。

Unityのシェーダーグラフを使えば、コードを書かなくてもシェーダーをビジュアルに構築することができる。

超リアルな世界を作れる AI ツール「Unity ArtEngine」を使って建物の外壁のテクスチャを処理することで、Sounds Hannam のデザインのビジュアライゼーションはよりリアルなものとなりました。

ArtEngine のシーム除去機能を使えば実物の写真を使ってテクスチャを加工する際に生じる境目の線の除去を効率よく行うことができますし、コンテンツアウェアな塗りつぶし機能を使えば、スキャンした画像の不要な部分や破損している部分、欠損している部分を埋めることができます。この他にも、JPEG 画像の圧縮によって生じたアーティファクトを除去する機能など、撮影した画像を使ってテクスチャを作成する際に便利な機能がたくさんあります。

外壁には PBR マテリアル生成が使用され、普通の写真から、アルベド、法線、ラフネス、光沢度、凸凹などを計算し、照明に動的に反応する PBR マテリアルを作成しました。

ArtEngine で作成した壁面と床

プロジェクトのワークフローと作り込み

Sounds Hannam Project におけるビューティフィケーションは、建物の外観、内部の店舗、インタラクティブな要素の大きく 3 つに分かれます。外観は、まず建物全体のモデリングを行い、その上で空いたスペースを埋める景観設計と、テーブルや椅子、傘などの小道具の配置を行いました。そして、向こう側が見えないようにした仮想の構造物として周辺の建物を描き込みました。

建物内の店舗や内装については、Sounds Hannam の Revit のデータに室内情報が含まれていなかったため、地下 1 階、1 階、2 階の屋外店舗、および 2 階より上の空間は、ガラス窓から見えるシーンとして作り込みました。

ライティングによって景色が変化する様子は、Sounds Hannam Project の見どころの 1 つです。昼と夜のモードを切り替えることで、様々なライティング条件で建物の外観が変化していく様子を見ることができます。

Sounds Hannam ナイトモード

Sounds Hannam Project のワークフロー

インタラクティブ機能

最初に Revit データを受け取ったとき、建物の様々なディテールをインタラクティブな要素として盛り込んだら楽しいだろうと考えました。Revit データは使えないので、インタラクティブ要素のほとんどはダミーデータによるものとなりましたが、それでも各店舗が関連する BIM 情報を表示するために入れました。

様々なインタラクションが可能なプロジェクトなので、選択した店舗までの最短経路を表示するナビゲーション機能や、Sounds Hannam 内の店舗の詳細を表示するポップアップ機能、小道具の色を変える機能などを盛り込みました。

このナビゲーション機能は、はじめて Sounds Hannam の実際の建物を訪れたときに、店舗があちこちに隠れているような印象を受けたことがきっかけになって思いついたものです。車の GPS のように、この機能を使えば、中にあるお店をバーチャル空間内で見て回ることができます。この機能は、プロジェクトにインタラクティブな要素を追加する際に、店舗を見つけやすくするために開発されたものです。

Sounds Hannam Project

「Seoul Office Project」と「Sounds Hannam Project」

Unityの韓国オフィスが以前に手掛けた作品の 1 つに「Seoul Office Project」があります。このプロジェクトはソウルにある実際のオフィスをリアルに描いたことで注目を集めました。このプロジェクトは Sounds Hannam Project との共通点も多かったですが、もちろん違っている点もありました。

Unity Seoul Office Project

Unity Seoul Office Project

どちらも建築のビジュアライゼーションに関するプロジェクトで、また成果物がウォークスルー(建築計画を検討し、設計の誤りを発見して修正することを目的としたもの)という点も共通していたため、全体的なワークフローは似たようなものでした。ただ、Seoul Office Project では、Sounds Hannam Project とは異なる UI やインタラクティブ要素を作ろうとしていました。Seoul Office Project では、建物内の部屋から部屋への移動を体験できるようにした一方で、Sounds Hannam Project では建物のフルモデルを見ることができるという利点を活かしました。そのため、建物内の店舗の位置を正確に表現することで、まるで本物の建物を見ているかのような鮮やかな体験を実現しています。

Seoul Office Project と Sounds Hannam Project では、カバーする空間の範囲や受け取ったオリジナルデータが大きく異なっていました。ソウルオフィスの生データは、インテリアデザイン会社から提供されたものだったので、内装の詳細な SketchUp モデルが含まれていました。

一方、Sounds Hannam の生データは建築会社から提供されたもので、合計 5 棟分の様々な情報が Revit 形式で収録されていましたが、モデル自体は比較的シンプルなものでした。

Sounds Hannam の Revit データ

建築ビジュアライゼーションの未来

Unity エンジンの強みは、シンプルな設定や操作で高品質な 3D ビジュアライゼーションを実現できる点にあります。この強みが、建築業界における建築物のプロモーションに役立てられ、設計精度を向上させ、実験的なコンセプトのテストや開発を可能にすることが大いに期待されます。

ウォークスルーやプレゼンテーション用に実際に目で見るのと同じように見えるマテリアルを作れば、実際の建築物がどのように見えるかを様々な角度から検討することができます。これにより、設計上の不備をタイムリーに把握し、修正することが可能になります。さらにバーチャルツアーを実施できるようにすれば、設計に対するクライアントのニーズや要望に素早く対応し、変更点をその場でテストすることもできるため、クライアントの意思決定を促すことができます。

「Unity を使った今回のプロジェクトによって、Sounds Hannam をオンラインでお客様に紹介することができ、また、様々なインタラクティブなコンテンツを作ることができました。これにより、Sounds Hannam の美しくセンセーショナルなスポットを革新的で効果的な方法で紹介するための新しい扉が開かれると信じています。」ー Sounds Hannam CEO、Kim Jeong-Ho 氏