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デジタルヒューマンによるシミュレーションで組み立て作業のプランニングを拡張する

, 1月 19, 2021

製造業での幅広いユースケースに向けて、複雑でリアルな人間の動作のシミュレーションと解析を行う MOSIM 研究プロジェクトにおいて、Unity がどのように役立っているかご覧ください。これまで数週間かかっていた組み立て作業に従事する人のタスクのシミュレーションをわずか数分で完了させる能力を活用して、生産計画の改善、作業者の生産性と安全の向上、リスクおよび費用の削減といった成果を上げる企業が続々と出てきています。

MOSIM プロジェクトは、自動車メーカーの Daimler 社が主導し、Unity や 20 社を超えるパートナーが参加しているコンソーシアムです。このプロジェクトでは、産業用途での応用に向けたデジタルヒューマンによるシミュレーションのオープンな規格の策定に向けた作業が重ねられています。

MOSIM の概要と Unity を使ったシミュレーションに関するこのプロジェクトのビジョンについては、以下のビデオをご覧ください。また、オープンソースのプロジェクトは GitHub からダウンロードすることができます。

 

GitHub で MOSIM をダウンロードする

 

組み立て作業のプロセスを改善するチャンス

画像提供:Daimler 社

自動化の時代と言われる現在においても、自動車などの工業製品の組み立てにはかなりの手作業が必要とされます。しかし、作業者が行う作業が 3D による視覚化ではなく、テキストによって説明されることがよくあるなど、生産計画プロセスの多くの部分に改善の余地があります。さらに、これらの作業の検証は、実際の物として作られたプロトタイプを使って行われます。シミュレーションを使えばこのような作業を効率化できることは知られていますが、プロセスのシミュレーションを生成するために時間がかかり、また、専門家向けのツールが必要となるという問題を長らく抱えていました。

特定の個別の動作(例:部品の取り付けなど)をシミュレートすることは可能ですが、一連の動作(例:部品に向かって歩き、部品を取り出して、車両に向かって歩き、部品を取り付ける)をつなげた形でシミュレートするには、かなりの量の手作業と実際の場所や設置されている器具などの物理的なモーションキャプチャーが必要です。ほとんどの企業は、その複雑さと時間の投資を正当化しうる非常に特殊でリスクの高いシナリオを除いて、このようなシミュレーションに労力を割くことに二の足を踏んでいます。

「自動車やバスの手作業による組み立てには多種多様な動作を取ることが要求され、こうした手作業の入るシナリオを包括的にシミュレートできるツールは現在のところ存在しません。課題は、これらの個別のシーケンスを 1 つにまとめることです。そこで、私たちはデジタルヒューマンシミュレーションのためのフレームワークを作り、この課題を解決しようと考えました。」Daimler Buses – EvoBus GmbH の博士研究員であり、MOSIM のテクニカルコーディネーターでもある Felix Gaisbauer 氏はこのように言います。

画像提供:Daimler 社

自動車、トラック、バスなどの生産がますます複雑化し、企業間の競争が激化する中で、効率を最大化することの必要性がこれまでになく高まっています。実際の物を使ったテストや最適化への依存は、生産性を落とし、コストを増大させるだけでなく、製造業各社が自らの生産効率に自信を持てなくなるという事態を引き起こすこともしばしばあります。

「この 10 年間でこうした取り組みに改善が見られてきていますが、人間の動的なシミュレーションは、程度の差こそあれ、十分に進められているとは言えません。今こそ、製造現場におけるシミュレーションを推進する絶好の時です。」Daimler Buses – EvoBus GmbH のマネージャーで、MOSIM のプロジェクトリーダーの Thomas Bär 氏はこう述べています。

デジタルヒューマンによるシミュレーションの新しいオープンな規格

MOSIM が提供している、構成要素がモジュール化された Unity ベースの人間のシミュレーションを使うことで、一連のキャラクターアニメーションをまとめて包括的なシミュレーションを行うことが簡単にできます。以下のようなことができます。

  • リアルタイム 3D で組み立て手順を視覚化し、検証する
  • 仮説に基づくシナリオをシミュレートし、実行可能性や作業の最適な流れを見定める
  • 指標に基づいた評価を実施する(例:人間工学、施工のしやすさ)
  • 物理的な設備の立ち上げや、トレーニングチームの結成を行う前に、プロセスの最適化と改善を行い、コストや非効率性を削減する

手作業なら作成に約 2 週間かかるシミュレーションを、わずか数分で作成できるようになります。組み立て工程における人間工学に基づいた改善可能な箇所を見出すことから、作業員の生産性、安全性、トレーニングの改善まで、MOSIM は生産の多くの段階に影響を与える大きな可能性を秘めています。

「これにより、多くの新しい可能性が開けます。組み立て作業中の人間の動きをリアルにシミュレートすることができれば、歩行経路を短くするために棚の位置を調整するなど、工場の環境を最適化するための施策について考える機会がさらに増えます。また、作業員に作業の遂行方法を教えるための没入型トレーニングを提供するために使うこともできます」と Gaisbauer 氏は述べています。

Unity で視覚化とシミュレーションを行う

MOSIM のフレームワークの中心部分に Unity のリアルタイム 3D プラットフォームを活用することで、視覚化とシミュレーションの新たな可能性が広がり、体験の全体の質を向上させるデジタルアバターやアニメーションを使うことが可能になります。Unity を使用することで、プロトタイプを素早く作成できるだけでなく、VR ヘッドセットなどのデバイスへの展開も容易になります。

「私は、Unity のプログラミングのやり方や大規模なアセットストアを気に入っていますし、プロジェクトパートナーの多くも、他のエンジンよりも Unity を使った経験をより多く持ち合わせています。Unity が提供する包括的なパッケージが、私たちに大きな価値を生み出しています」と Gaisbauer 氏は述べています。

MOSIM は、Unity だけでなく、Web ベースのアプリケーションからもアクセスできます。「Pick Up & Put Down」のような規格化されたテキスト記述を使って、作業者による組み立てのシミュレーションを 3D で自動的に生成することができます。

始めよう

MOSIM の Motion Model Unit(MMU)Generator を使って、ひとつながりの人間の動きを作ることができる

コンピュータシミュレーションの業界向けオープンソース規格 Functional Mock-up Interface(FMI)のアプローチに MOSIM は影響を受けており、歩行のような単純なアニメーションからはしごを登るような複雑なタスクまで幅広く対応するために、Motion Model Interface(MMI)とその実装となる Motion Model Unit(MMU)を提供しています。

MOSIM は、GitHub 上のオープンソースリポジトリに定義済みの人間の動作のライブラリを構築しており、Unity コミュニティに、追加の MMU 作成への貢献を呼びかけています。Unity ベースの「MMU Generator」を使用すると、プログラミングの知識がなくても FBX などのファイル形式からカスタムの MMU を作成することができます。

「こうした動きは特別なものです。他のゲームエンジンにはない、Unity ならではのものです。」と Gaisbauer 氏は言います。「開発を簡素化し、より多くのアニメーションアーティストや開発者が MMU を提供できるようになることを期待しています。」

GitHub で MOSIM のレポジトリをチェックして、デジタルヒューマンによるシミュレーションをアプリケーションに取り込んでみてください。