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Unity の HDRP のレイトレーシング機能に関する NVIDIA ウェビナーのご案内

, 1月 25, 2021

NVIDIA が主催する近日中のウェビナーで、Unity が HD レンダーパイプライン(HDRP)が搭載している最新のレイトレーシング機能に関する講演を行います。このウェビナーでお伝えする内容は、ハイエンドのビジュアライゼーションやゲームプロジェクトでレイトレーシング向けの設定を行う上で、専門家にも役立つものとなっています。なお、HDRP のレイトレーシング機能は現在プレビュー版としてご提供しています。

ライブウェビナーに参加するには、NVIDIA のウェブサイトでご登録ください。ウェビナーは太平洋時間の 2021 年 1 月 27 日水曜日の午前 10 時(日本時間 2021 年 1 月 28 日午前 3 時(27 日 27 時))に開始し、全体で約 1 時間の予定です。ライブで参加できない場合も、後日オンデマンドでセッションを視聴することができます。

ウェビナーにライブ参加された方全員を対象として、抽選で 1 名様に NVIDIA® Quadro RTX™ 5000 を 1 台プレゼントいたします。ただし、この抽選に参加するためには、ウェビナーに登録の上、ウェビナー全体をライブ視聴する必要があります。

レイトレーシングとは何か

ライティングシナリオにおいて、レイトレーシングは、カメラや表面からの光線を他の表面や光の構造(カメラビューの外側も考慮することに注意)に向けて飛ばし、ライティングを計算する手法です。映画制作やハイエンドのビジュアライゼーションでは、レイトレーシングが広く使われています。しかし、このような画像を実用に耐えるフレームレートでレンダリングするために必要な計算能力が高すぎるために、最近までリアルタイムのアプリケーションには使用できませんでした。そのため、数十年前からゲームではラスタライズという別の方法が使われてきました。簡単に言えば、どのライトが画面上のピクセルに影響を与えるかを計算することで、画面上のピクセルに陰影をつけるというもので、実際にはレイトレーシングの概念はまったく関係しておらず、また、スクリーン空間の性質上、いくつかの制限があります。

ありがたいことに、最新の主な GPU でハードウェアアクセラレーションが有効になったレイトレーシングを手軽に使えるようになったことにより、近い将来、特にハイエンドのプラットフォームでは、レイトレーシングがライティングを計算するための新しい標準的手法となるかもしれません。HD レンダーパイプライン(HDRP)は、伝統的なラスタライズとレイトレーシング技術をミックスしたハイブリッドなレイトレーシングパイプラインを提供します。HDRP では、アンビエントオクルージョン(AO)、反射、グローバルイルミネーション(GI)、サブサーフェイススキャッタリング、シャドウなどの一般的なライティング効果を、レイトレーシングで実現したバージョンを提供しています。

例えば、Unity、NVIDIA、BMW によるコラボレーションの成果である、2019 BMW 8 シリーズクーペの印象的なショーケースをご覧ください。これは、リアルタイムのレイトレーシングが、オフラインのレンダリングソリューションの数分の一の時間とコストで、非常にフォトリアリスティックな結果を提供できることを実証したものです。

HDRP のレイトレーシングは現在プレビュー中であり、本制作にまったく問題なく使えるというわけではありませんが、皆様にこの機能をお試しいただき、さらにフォーラムにフィードバックを投稿してくださることがあれば、望外の喜びです。

ウェビナーでお伝えする予定の内容

このウェビナーでは、Unity 2020.2 から使えるようになったばかりの、新しい HDRP テンプレートを活用します。

そのため、事前に Unity 2020.2 をダウンロードしておくと、ウェビナー内での説明に沿ってお手元で試してみることができます。プロジェクトを立ち上げる方法は非常に簡単です。Unity Hub で新しいプロジェクトを作成し、「High Definition Render Pipeline」テンプレートを選択し、Create ボタンを押すだけです。

現在のバージョンでは、HDRP テンプレートは、ベイク済みのライトマップ、ライトプローブグループリフレクションプローブシャドウマップなどを使ってライティングをレンダリングするラスタライズ技術のみを使用しています。したがって、ウェビナーの最初のステップは、テンプレートを素早く変換してレイトレーシングを使えるようにすることから始めます。

その後、HDRP で利用可能なレイトレーシング効果として、アンビエントオクルージョン反射グローバルイルミネーションシャドウの 4 つをレイトレーシングで実現したものについて詳しく紹介します。最後に、HDRP のパストレーシングを紹介してセッションを締めくくります。これは、レイトレーシングをより力任せに行うようにしたアプローチで、レンダリング時間を大幅に増やすことにはなりますが、より現実に近いビジュアルを実現する手法です。

レイトレーシングによるアンビエントオクルージョン(RTAO)

スクリーンスペースアンビエントオクルージョン(SSAO)は、10 年以上前からゲームのリアルタイムレンダリングの定番となっています。これは、環境の拡散光によるオクルージョンをシミュレートするために使用され、ワールド内のオブジェクトを見分ける際の視認性を改善し、凹んだ領域の照明を暗くするために使用されます。しかし、この効果をかけすぎると、ジオメトリの周辺にハローを発生させ、漫画のように見えることさえあります。その上、スクリーンスペースアンビエントオクルージョンには、フレーム外に存在するオブジェクトからオクルージョンを生成できないという大きな欠点があります。これはこのテクニックが Z バッファで使える深度情報のみを利用しているためです。プラス面としては、カメラの視野内の小さなエリアの微小なオクルージョンを、比較的低性能のコストで処理できることが挙げられます。

レイトレーシングのおかげで、光線をカメラの視錐台の外側にある面にも飛ばすことができ、したがって、フレームの外にある物体にまで光線は届くようになっています。このようにして、カメラの周りにある大きな物体からマクロのオクルージョンを得ることができます。技術的にはアンビエントオクルージョンは環境照明の大まかな近似でしかありませんが、ライトマップやライトプローブのような、解像度や密度が限られているために微小なオクルージョンを捉えることができない他のライティングのテクニックを補完することができます。

レイトレーシングによる反射(RTR)

SSAO と同様に、スクリーンスペース反射(SSR)はフレーム内のオブジェクトでの反射のみを扱うことができます。つまり、カメラから直接見えていない面からの反射は捉えられません。例えば、床を見ても、SSR では有用な情報を提供することができません。したがって、SSR は非常に近似的であり、私も含め、この手法を批判する人も多数います。静的なリフレクションプローブを適切に配置することで、ほとんどの静的なシナリオにおいて、より魅力的で欠陥が気にならない結果が得られることが多いからです。しかし、SSR が文字通り光り輝く領域があり、それは床、壁、天井など、視野方向に平行な表面の平面反射です。SSR の最適な使用例としては、レースゲームのようにピッチがロックされているカメラを使う場面が挙げられます。

しかし、レイトレーシングでは、画面の外に存在する情報を利用することができ、その結果、少なくともカメラの周りの一定の半径内で、Light Cluster と光線の長さで定義された、より正確な世界の反射を提供することができます。

レイトレーシングによるグローバルイルミネーション(RTGI)

レイトレーシングの最も印象的な特徴の 1 つはリアルタイムなグローバルイルミネーションを計算できることです。これは間接照明のシミュレーション、簡単に言えば、環境内で反射している光のシミュレーションです。

一般的にゲームエンジンでは、間接照明は、ライトプローブやライトマップなどの事前計算やベイクを使う技術で処理され、アーティストやデザイナーがライティングを扱う際の反復修正のスピードを大きく削いでしまいます。


ありがたいことに、HDRP では RTGI について、パフォーマンス重視と品質重視の 2 種類のテクニックを使えるようになっています。前者は直接光の下での高フレームレートのシナリオを想定した調整がされており、後者は非常に高い計算コストがかかるものの、複数回の光の反射とサンプリングを行うことで、より複雑な構造を持つインテリアの表現でも非常に正確な結果を提供することができるようになっています。

レイトレーシングによるシャドウ

HDRP では、特に手間をかけることなく、シャドウフィルタリングの品質を高く設定(自然なソフトシャドウ(Perceptually-Correct Soft Shadow;PCSS))することで、自然な滑らかさのある影をシミュレートしつつ、現実世界で見るように、影を落とす物体の近くではシャープな影になるようなシャドウマップを得ることができます。しかし、中程度のフィルタリング品質に設定して計算コストを押さえようとすると、影を落とす物体と影が落ちる先の物体との間の距離に関係なく、シャドウマップ全体が一様にフィルターされてしまい、結果がぱっとしないものになることがあります。

レイトレーシングによるシャドウでは、面から照明に向かって光線を飛ばし、面と照明の間のオクルージョンの量を把握することで、結果を劇的に改善することができます。これにより、適度なパフォーマンスコストで現実の影にかなり近い近似を得ることができます。さらに、HDRP は透明度のあるシャドウをサポートしています。

パストレーシング

最後に、パストレースにより、アーティストは従来のオフラインレンダラーを使うアプローチよりも大幅に時間を短縮しつつ、素晴らしい画質を得ることができます。光線がカメラから飛び、それらが面に当たるたびに、そこから他の表面やライト(Light Cluster 構造)に向かって新しく光線を飛ばします。カメラと照明の間の光線の軌跡はパスと呼ばれ、そのため、このテクニックはパストレーシングと呼ばれています。

上述した他のレイトレーシング手法と比較したパストレーシングの利点は、シャドウ、反射、屈折、グローバルイルミネーションなどのすべてのライティングの計算を統一されたプロセスで行えることです。一方、この手法の主な欠点は、レンダリング時間とノイズです。ただしノイズについては、数秒間サンプルを蓄積することでこれを少なくすることができます。

結言

このウェビナーをご覧になり、皆様に Unity で利用できる主要なレイトレーシング機能をより深く理解していただき、その知識がビジュアライゼーションやリアルタイムなゲームで使う画像の品質を大幅に向上させるためのお役に立てるようであれば幸いに思います。

皆様がウェビナーにご参加になることを楽しみにしております。また、ご質問にもその場でできるだけお答えするつもりです。Unity Ray tracing フォーラムに質問やフィードバックを投稿していただくこともできるので、こちらも忘れずチェックされることをおすすめいたします。

著者について

Pierre Yves Donzallaz(テクニカルアートマネージャー、R&D、グラフィックス部門)は、リアルタイムレンダリングの分野で、AAA クラスの作品に関わる仕事の経験を 10 年以上積み上げた、経験豊富なライティングアーティストです。彼には技術とアートに関して非常に深い造詣があり、ライティング、レベルの美化、UX、ツール設計、ワークフローの改善など、様々な分野に関する専門知識を持っています。

これまでに、『Crysis』シリーズ、『Ryse: Son of Rome』、『Grand Theft Auto V』、『Red Dead Redemption 2』など、受賞歴のあるゲームや大規模な AAA クラスの作品を手掛けてきました。

現在は Unity の R&D でグラフィックス部門のメンバーとして、アーティストの効率を向上させ、世界中のユーザーを教育し、エンジニアやデザイナーと一緒に新しいツールやワークフロー、およびグラフィカル機能を開発することをミッションとしている、テクニカルアーティストのチームを率いています。

Anis Benyoub(シニアグラフィックスプログラマー、R&D、グラフィックス部門)は現在、ゲームとリアルタイムアプリケーションの両方でリアルタイムのレイトレーシングをサポートするために、レンダーパイプラインの拡張に取り組んでいます。Anis はモンテカルロ積分、物理ベースレンダリング、およびリアルタイムのパフォーマンスに関する問題に熱心に取り組んでおり、コミュニティへの知識の発信にも積極的です。

Unity にジョインする前は、Pretty Simple Games でグラフィックエンジニアとして、Autodesk では 3DS Max の 3D R&D エンジニアとして、それから Stingray ゲームエンジンのコアソフトウェアエンジニアとして働いていました。彼は、Ecole Polytechnique de Montréal でコンピューターグラフィックスを専攻として、コンピューターサイエンス分野で理学修士号を取得、INSA Lyon でもコンピューターサイエンス分野で、工学修士号を取得しています。

3 replies on “Unity の HDRP のレイトレーシング機能に関する NVIDIA ウェビナーのご案内”

Unfortunately the Media Player used for the webinar presentation doesn’t seem to work so well. The play/pause button doesn’t work. Be better to just get sent links to YouTube as private videos for subscribers to watch or please fix the media player on the webinar website at least.

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