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リアルタイムパイプラインを使って制作された『Dead Pixels』がプライムタイムのテレビ番組として登場

, 10月 6, 2020

実写映像と Unity で作られたアニメーションを巧みに組み合わせた『Dead Pixels』。この作品は、元々イギリスの Channel 4 の E4 で放送されていたテレビシリーズです。今夏、このシリーズはアメリカの放送ネットワーク The CW でも毎週放送されました。そして、ロンドンのアニメーションスタジオ Keyframe Studios は、シーズン 2 のコンテンツを凄まじいスピードで完成させました。

もし皆さんがゲーマー、特にロールプレイングゲームが好きな方なら、『Kingdom Scrolls』という人気 MMORPG があると聞いても、そんな名前のゲームは聞いたことがないと不思議に思うかもしれません。The Guardian 誌に「混沌の帝国。邪悪な魔法が飛び交う。最後の審判のときに備えて遠く離れた土地から戦士たちが集い、力を合わせて戦う」と評された、見どころ満載、とんでもなく中毒性のあるオンラインワールドゲームを知らないなんて!

『Kingdom Scrolls』のアバターに扮した、『Dead Pixels』の主要キャラ 4 人。

それもそのはず。『Kingdom Scrolls』は、テレビのコメディ番組『Dead Pixels』に登場する、架空のゲームだからです。このゲームは制作を手掛けた Keyframe Studios が、リアルタイムアニメーション制作パイプラインを使っていなければ、想像上の存在のまま世の中に出ずに終わっていたでしょう。

テレビ向けに制作

『Dead Pixels』は、英国の大手公共放送局である E4 で、2019 年に初めて放送されました。制作に携わった Jon Brown は、『Succession』のライターであり、Channel 4 の最長寿コメディ『Peep Show』のライターであり、また彼自身が熱心なゲーマーでもあるという人物ですが、その彼の発案により、『Dead Pixels』シリーズには、人気の MMO(多人数参加型オンライン)ロールプレイングゲームやゲーマー文化のパロディが盛り込まれています。作中の登場人物は、暇さえあれば『Kingdom Scrolls』を遊んでいますが、これは先程述べた通り作中にしか存在しない架空のゲームで、実態は、Keyframe Studios がこのテレビシリーズのために特別に制作した、ゲームのように見える脚本付きのアニメーションです。そしてその制作に Unity が使われています。

Unity で作られた『Kingdom Scrolls』のアクションシーケンス。

一気通貫したワークフロー

Keyframe Studios は、ロンドンを拠点とする 2D および 3D キャラクターアニメーションの制作を一括して請け負うアニメーションスタジオです。同社のクライアントには、放送局(Channel 4、BBC、Sky、BBC Studios)、制作会社、代理店のほか、Lloyds Bank、ヒュンダイ、日産、サムスン、ボーダフォンなどの有名企業も含まれています。

このスタジオのすべてのパイプラインは Unity をベースに構築されており、アニメーション、リアルタイムリップシンク、モーションキャプチャー収録から、ライティング、次世代バーチャルエフェクト、リアルタイム 4K+(超高精細)レンダリング、コンポジションまで、制作プロセス全体がパイプラインに組み込まれています。

時間を短縮する

アニメーションシーケンスのワークフローは、Unity のタイムラインと Unity Recorder を駆使したものでした。Keyframe Studios の CTO である Ben Purkis 氏によると、これらのツールがあることで、Unity のリアルタイムパイプラインは、従来のレンダリングプロセスよりも最大で 300 倍高速なものになるといいます。「このワークフローの即時性により、制作の過程であっちこっちと往復する必要がなくなり、何日も、何週間も時間を短縮できると思います」と言います。また彼は同じくらい重要なこととして「このワークフローは、エネルギー消費量が大幅に削減されるため、これまでの 100 倍も環境に優しいこともわかりました」と教えてくれました。

実写パートの登場人物はビデオゲームの中のファンタジー世界での生活を楽しむ(画像提供:Channel 4)

脚本の書き換え=アニメーションの作り直し

制作サイクル全体に抜本的な変更を加えたことは、Dead Pixels では特に有効に働きました。なぜならこの変更によって、チームが継続的な微調整や土壇場の修正に対応できるようになったためです。クライアントとの CG の仕事では修正依頼はいつでもやってくるものですが、この制作サイクルへの変更は、「アニメーションを実写と組み合わせて、制作の最終段階で本当に急にやって来る脚本への修正を取り入れながら、笑いを取る場面が狙ったタイミングに確実に出てくるようにするには不可欠でした」と Purkis 氏は言います。実際、このようなことは複数話構成のテレビシリーズでは日常的に起きることです。

作中のキャラクター「Usman」の初期のコンセプトアート。

シリーズの核となるのは、Keyframe Studios が過去のゲームのイメージを再構築して作り上げたメインキャラクターたちです。その中には The Guardian 紙に「気持ちいいほどグロテスクなアバター」と言わしめたものも含まれます。このキャラクターの制作には、スタジオのアニメーターの技術と、スタジオが使用していたバージョンの Unity に含まれるアップデートにも追従できるパイプラインの柔軟性が必要とされました。

「第 1 シリーズ(シーズン 1)では、2012 年から 2013 年に流行したゲームを風刺したんです。」Keyframe Studios の創業者でアニメーションディレクターの Asa Movshovitz 氏は、そのように語ります。チームは当時のゲームのセンスを盛り込んで、キャラクターや環境のデザインやモデリングを行いました。

Keyframe Studios はアニメーションシーケンスを最大で 300 倍早くレンダリングした。

倍の成果を出し、所要時間を短縮する

イギリスの Channel 4 で第 1 シリーズが放送された後、2 つのことが起こりました。シーズン 1 はオーストラリアとイスラエル、そしてアメリカの放送ネットワーク The CW でも紹介され、国際的な視聴者を獲得したこと、そして、シーズン 2 のオファーを Channel 4 から受けたことです。シーズン 2 は、より現代的なゲームの美的要素を取り入れて、ビジュアル面を大きく強化したストーリー展開になっていました。

「シリーズ 2 では、作中のゲームも 2020 年版に進化して、映画のような見た目の高度に強化されたグラフィックを使ったものになっています」と Movshovitz 氏は言います。これは、シーズン 2 のためにアニメーションをゼロから作り直し、まったく新しい環境や 80 人以上のキャラクターを作って、世界全体を再設計、再構築するということを意味していました。彼らはこれを、Unity 2019.3 に対応した、HDRP パイプラインの RTX レイトレーシングの実装を使って成し遂げました。

環境アートの初期のコンセプト

私たちにはスピードがある

シリーズ 2 の制作では、スタジオはテレビ番組 6 回分の映像を 8 か月弱で完成させることに成功しました。Movshovitz 氏によれば、これはアニメーションの世界では信じられないほどタイトなスケジュールだということです。

しかし、Keyframe Studios にとっては何も厳しいものではありませんでした。「制作プロセスの後半に新しいシーンの追加や土壇場での変更があっても、私たちは喜んで引き受けます」と Movshovitz 氏は言います。

いざ、プライムタイムへ

Dead Pixels』のシーズン 2 は、イギリスの E4 でまもなく放送開始となります。また、アメリカ在住者向けに、The CW の無料サービス「The Seed」で、シーズン 1 のオンデマンド配信も行われます。

 

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