Unity Multiplayer Services でゲームのプレイヤーを増やす

2024 Unity ゲーミングレポートによると、スタジオの 68% がマルチプレイヤーゲームの開発を行っていると答えています。この数は、プレイヤーの需要に応える形で、過去数年にわたって徐々に増えてきました。

マルチプレイヤーゲームは、より多くの競争とコミュニティを提供し、より大きなエンゲージメントとリテンションを促します。2023 年には、マルチプレイヤー機能を備えたモバイル専用ゲームの月間アクティブユーザー数 (MAU) はシングルプレイヤーゲームを 40.2% 上回り、マルチプレイヤーゲーム全体の売上は 10% 増と、業界全体の前年比0.6% 増に比べ大幅に伸びました。

これほどの成功を収めるには、開発、運営、プレイヤーリテンションへの投資がさらに多く必要になりますが、この複雑さには適切なツールを用いることで対応可能です。多くのゲーム開発者は、こうした問題をすべて社内で解決するのではなく、特注のソリューションでネットワークスタックのギャップを埋めて開発チームがゲームプレイに集中できるようにしています。ある調査によると、スタジオの 88% が、要求の厳しいゲームプロジェクトのニーズを満たす新しいツールを探しているとの事です。   

Netcode for GameObjects や Netcode for Entities といったフレームワーク、それから Unity Multiplay Hosting や Vivox Voice Chat のような Unity Gaming Services (UGS) のマルチプレイヤーソリューションを提供することで、Unity の一連のライブゲームツールは、コンセプトやプロトタイプの作成からローンチ、ライブオペレーションまで、マルチプレイヤーゲーム開発の全行程をカバーします。この柔軟なシステムにより、Unity のエコシステム内でビルドすることも、ゲームや開発チームのニーズに合わせて必要なツールやサービスを組み合わせて使用することもできます。

コミュニティがあるゲームはより魅力的で、ゲーマーの生活に永続的な影響を与え、開発者にとっては収益性が高くなります。私の子供の頃の一番の思い出は、『ゴールデンアイ』、『レッドアラート』、『HALO』といったゲームのマルチプレイヤーモードで友達と遊んだことです。もしローカル、協力、オンラインといったマルチプレイヤーモードの先駆けがなければ、このような思い出はできなかったでしょう。

現在のゲーム業界では、顧客を維持し、魅力的なコミュニティを作ることがこれまで以上に重要になっています。これが、長続きするゲームを制作し、長期的なビジネスの成功を実現するための最も効果的な方法です。そのため当社は、マルチプレイヤーゲームの制作、デプロイ、および運用を支援するマルチプレイヤー開発ツールやサービスに多額の投資を続けています。

Multiplayer Services は、大胆で革新的なゲームに強力なサポートを提供します。Triangle Factory が VR 向けの 5 対 5 の一人称シューティングゲーム『Breachers』を制作したとき、同社が戦略的に重視したのは、少数精鋭のスタジオチームをゲームプレイに集中させつつ、クロスプラットフォームへのアクセスを通じてプレイヤーのリーチを最大化することでした。そのためには、マルチプレイヤーバックエンドをできるだけ摩擦なく軌道に乗せる必要がありました。

そこで同社は、Multiplay Hosting を利用し、ハイブリッドなサーバーソリューションでサーバーコストの削減に成功。迅速にスケールし、UGS のバックエンドアーキテクチャと Multiplay Hosting のサポートによって、初月に 11 万 MAU を達成しました。また、スタックを簡素化し開発時間を短縮するために、Authentication、Matchmaker、Vivox Voice Chat、Leaderboard など、さまざまな Multiplayer Services を活用しました。

Triangle Factory の CTO である Pieter Vantorre 氏は「Unity Multiplayer Services のおかげで、プレイヤー機能の開発期間が数週間から数日に短縮されました。もしすべてを自社で開発しようとしていたら、もっと多くのリソースと資金が必要だったでしょう。」と述べています。

StickyLock も、複数の Multiplayer Services を併用し、複雑な開発プロセスを合理化することを選びました。StickyLock の今後リリース予定のマルチプレイヤーゲーム『Histera』のプロデューサーである Jamel Ziaty 氏は、「UGS のおかげでどれだけの時間を節約できたのか正確に数値化するのは難しいですが、開発時間にして数百から数千時間といったところでしょう」と喜びの声を上げています。

StickyLock のチームはすでに、テンポの速いディストピア的な一人称視点のシューティングゲームに「グリッチ」と呼ばれる斬新なゲームメカニズムを組み込んでプレイヤーを異なる時代へとタイムスリップさせるという、壮大なゲームコンセプトに取り組んでいました。少人数のチーム総出でゲームプレイを開発する必要があったため、マルチプレイヤースタックを任せられるソリューションを確保することが極めて重要だったのです。

「我々がマルチプレイヤー UGS を選んだのは、複雑なロジックはすべてサードパーティに任せて『Histera』の中核となるゲームプレイに集中したかったからです」と Ziaty 氏は説明しています。「我々は UGS の多くのサービスを利用していますが、1 つのプロバイダーでそれらを利用できるのはとても便利です。様々なサービス間の連携作業の手間を心配する必要がなくなって助かります。」とのことです。

Multiplay Hosting は、パフォーマンス、処理能力、および顧客のコスト節約などに関して、上記のゲームやその他多くのゲームで、大規模なテストが行われてきました。

• Unity Gaming Services は月間 7700 万件のゲームセッションをホストしています。
• Multiplay Hosting は 300 万人以上のユーザーの同時接続をサポートしており、プレイヤー数の増加に対応できる能力を誇っています。
• 最近、Unity が同時に実行するゲームサーバーの数は 175,000 台以上にもなっています。
• Multiplay Hosting は、プレイヤー 1 人あたりのホスティングコストを 30～40% 削減できます。
• Multiplayer Hosting は、292 か所のデータセンターにアクセス可能です。

Unity は、マルチプレイヤーゲームを開発するすべてのお客様をサポートしたいと考えています。そのため、Relay、Matchmaker、Distributed Authority、Multiplay Hosting などのサービスを提供しています。マルチプレイヤーゲームをホスティングするオプションの急速な増加に対応するため、Unity は、ゲームが必要とするときはいつでも数百万人のプレイヤーにスケールアップしてきた業界をリードするクラウドとベアメタルのハイブリッドアプローチに頼ることで、ホスティングハードウェアにとらわれない Multiplay Hosting を実現します。つまり、Unity 側でインフラを提供することもできますし、任意のクラウドプロバイダーから取得した独自のコンピューティングリソースを Multiplay Hosting で使用することもできます。 

長年にわたって信頼性、パフォーマンス、成功を提供してきたマルチプレイヤーホスティングソリューションを利用できるよう、Multiplayer Hosting とツールをより高い柔軟性をもって提供できるよう調整しています。

当社はマルチプレイヤーゲーム開発に多額の投資を続けており、多くの素晴らしい新機能を計画しています。

• クラウドの柔軟性の向上: Bring Your Own Compute (BYOC) では、パートナーネットワークから選択したインフラ上でゲームを直接実行できます。
• 柔軟なクラウドプロバイダー市場の支出: Unity の製品やサービスは、クラウドプロバイダーのマーケットプレイスで利用できるようになり、既存のコミットメントや支出を利用できるようになります。
• CI/CD と可観測性の追加オプション: 新しい外部バケットアップロードとビルドタグオプションを活用すれば、必要な CI/CD パイプラインを構築でき、新しいセルフサービスログとメトリクスエクスポートによりゲームの可観測性を向上させられます。
• 分散型の権限: この全く新しいネットワークトポロジーにより、専用サーバーのような複雑さを伴うことなく、費用対効果の高い方法で、高度なシミュレーションを伴う大規模なマルチプレイヤーゲームを構築することができます。
• 新しいマルチプレイヤーゲームのサンプル: Unity は最近、Multiplay Hosting、Matchmaker、Vivox Voice Chat などのサービスを含む、Unity でのエンドツーエンドのマルチプレイヤー開発のブループリントを提供する新たなサンプルゲーム『Megacity Metro』をリリースしました。
• マルチプレイヤー VR テンプレート (近日公開): VR ゲームのマルチプレイヤーを設定するのは大変なので、それを簡単にするため、OpenXR をベースに構築され、GDC 2024 の Unity ロードマップセッションで発表された、新しいマルチプレイヤー VR テンプレートを公開します。

また、Unity 6 では Unity Engine と Unity Multiplayer Services のインテグレーションが強化され、以下のような形でマルチプレイヤーゲーム開発が簡素化されます。 

• Multiplayer Play Mode は、ゲーム機能の迅速なテストを実現するため、最高のエディター体験を提供します。
• Multiplayer Center はプロジェクトのセットアップを効率化します。 
• マッチメーキング、Lobby、Vivox Voice Chat を含む Unity Multiplayer Services は、迅速な実験と豊かなゲームプレイを可能にするうえ、Unity エディターに統合されています。
• Relay と Multiplay Hosting を活用して、開発、プレイテスト、デプロイをスムーズに行えます。
• 今後の展開とこれらのツールの連携に関する詳細は、GDC 2024 のロードマップセッションを参照してください。

Multiplay Hosting の柔軟性を拡大し、お客様がどのようにインフラを運用したいかにかかわらず、サポートできるようになったことを嬉しく思います。同時に、Unity Engine へのシンプルな統合を行うことで、より多くの開発者が、あらゆるデバイス向けのあらゆるタイプのゲームをサポートするマルチプレイヤーゲームの開発を行えるようにします。これらの投資により、Multiplayer Services は、最も要求の厳しい高パフォーマンスゲーム向けのソリューションであり続け、業界全体で拡大するマルチプレイヤーゲームプレイの採用をサポートし続けます。

最新のマルチプレイヤー向け開発ツールをいち早く入手し、マルチプレイヤーフォーラムでフィードバックを共有しましょう。最近の「マルチプレイヤー向けリソースまとめ」のブログ投稿で、Unity の新しいサンプルゲーム『Megacity Metro』を含む、マルチプレイヤーに関するあらゆることの実践的な学習のための最新のテンプレート、サンプル、デモを参照してください。