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Unity 2022.1 TECH ストリームが公開されました

2022年5月10日 カテゴリ: Engine & platform | 16 分 で読めます
Unity 2022.1 Tech Stream header
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新たな TECH ストリームで最新機能に触れ、私たちと共に Unity の次の LTS リリースに向けた第一歩を踏み出しましょう。

本日、Unity 2022.1 TECH ストリームが新たに公開され、リリースページからダウンロードできるようになったことをお知らせいたします。TECH ストリームリリースを通じて、初期段階にある機能を実際に使っていただき、フィードバックを提供し、より使いやすいツールを作るための対話に参加していただくことができます。TECH ストリームは年に 2 回リリースされ、2023 年に LTS がリリースされたときには、皆さんがすでにすべての機能を熟知し、新しいプロジェクトに取り入れられる状態になるように取り計らっています。 

2022 年の新しいライフサイクルからの最初のメジャーリリースとなる今回のリリースでは、Unity のエンジニアリングリソースをどこに投資すべきかを、皆さんのフィードバックと提案を元に検討しました。ロードマップに寄せられた 7,600 件のメモ、5,000 件を超えるフォーラムのスレッドに寄せられた製品への直接的なフィードバックや洞察、そして個別に行った何百もの対話から、70 以上の新機能を含む 280 以上の機能改善が実現されたのです。すべては、皆さんの手で形作られたのです。 

この記事では、統一された UI、アーティストのユーザビリティ、イテレーション速度、プラットフォームの強化など、主要なフォーカスエリアをカバーする最もインパクトのあるハイライトをいくつかご紹介します。より詳細な情報は、いつでも公式のリリースノートでご確認いただけます。

拡張性の高いエディター

皆さんのチームのニーズはそれぞれ違います。私たちは、皆さんのワークフローに合わせて拡張性の高いエディターを提供し、皆さんがより速く一緒に仕事ができるようにしたいと考えています。

UI Toolkit は、実行時 UI のオーサリングと、カスタムツールによるエディター拡張の両方に対応する統合ソリューションです。Unity 2022.1 では、UI ウィジェットやカスタムシェイプを使って、チームで使うためにエディターをカスタマイズしたいツール開発者のために、さらに多くの機能を追加しました。また、マルチカラムに対応した TreeView と UI 要素の外観をカスタマイズするための新しいベクター描画 API が追加され、Property Drawers と Property Attribute も、最もよく使われるものから順に、段階的に利用できるようにするための作業を進めています。フォーラム で私たちとつながり、UI Toolkit をより良いものにするために私たちができることをお伝えいただければ幸いです。  

スプラインの重要性については、フォーラムでもご意見をいただいており、公開されているロードマップの中でも最も要望の多い機能の 1 つです。 

「スプラインツールについて調べてみたのですが......必要な機能を備えているものがあるかどうかわからないし、実験のためにたくさん買うとなると、かなりのコストになってしまいますね。ですから、ビルトインの優れたスプラインツールは、私のプロジェクトにとって非常に重要なのです。」

このリリースでは、新しいスプラインオーサリングフレームワークがパッケージとして提供されています。特にプログラマーがツールやカスタムコンポーネントによって機能を拡張し、ジオメトリのインスタンス化やスプラインに沿った移動など、エンジン内でスプラインを作成、操作できるように設計されています。この機能も新しい編集モードが合わせて利用できるようになっており、標準的な編集ツールやショートカットを使って、スプラインのポイントや接線の編集に没頭することができます。フォーラムでご意見をお聞かせください。また、ロードマップで次のステップをご確認ください。

より詳細な情報は、いつでも公式のリリースノートでご確認いただけます。コードを使用してマテリアルを生成するクリエイターのために、Material API をすべてのマテリアルプロパティに拡張し、キーワードステート、HDRP の拡散プロファイル、IES ライトをサポートし、エディター内または実行時でのプロシージャルマテリアルの利用を強化しました。

最後に、Unity ファイルシステム用の新しい API が追加され、アセットバンドルの視覚化および分析用のツールを作成して、チームのパフォーマンスを最適化できるようになりました。 

生産性の向上

ゲーム開発では、迅速なイテレーションが重要な要素となります。私たちは Unity エディターのコア部分の最適化に取り組んでいます。この取り組みは、皆さんがアセットのインポートからプレイ可能なゲームのビルド、デプロイまで、制作期間全体を通して迅速に反復作業を行えるようにするためのものです。 

同時に、グラフィックフォーラムを通じて、テクニカルアーティストが自分のビジョンをより迅速に実現するために、追加のエディタツールや API を求めているという意見も受け取りました。そこで、そのフィードバックに基づいて、どんなクリエイティブチームでもより短時間でより多くの仕事をこなせるよう、新しいオプションを追加しました。 HDRP と URP のレンダラーの成熟に伴い、目標とするビジュアルの完成度をより速いペースで達成するためのさらなる方法を探しているという声も聞いています。

Material Balls with the new Unity logo

レンダリングとビジュアル効果の公開ロードマップで最も票を集めた機能のカードは、マテリアルバリアントでした。環境内の異なるプロジェクト、シーン、ロケーションで基本となるマテリアルを何度も再利用することが多いとの声をお聞きしましたが、これはマテリアルが暗黙の階層の文脈から外れて変更された場合、オーサリングの問題につながる可能性があります。

「大規模なプロジェクトで、ゲームのすべてのシェーダー/マテリアルを制御したいという場合、これは非常に重要な機能となります。この機能を何年も待っていました。」

マテリアルバリアントは、アーティストが大量のアセットを管理するチームにおいて、マテリアルを再利用する際の反復作業やオーサリングミスを減らすための、統合された強力なワークフローを提供します。HDRPURP の両方でマテリアルバリアントが利用可能となったことで、マテリアルの階層を作成し、子マテリアルは親マテリアルと共通のプロパティを共有し、異なるプロパティのみをオーバーライドすることができるようになりました。テンプレートのマテリアルの共通プロパティやオーバーライドされないプロパティの変更は、自動的にバリアントのマテリアルに反映されます。これで時間を節約し、マテリアルの変更をはるかに簡単に行えるようになります。 

プロジェクトにおいて、特に規模が大きくなってくると、探している項目を見つけるまで時間がかかるようになってくるというご意見もいただきました。そこで、探しているものをより早く見つけられるように、ビジュアルサーチクエリを導入しました。さらに、より複雑なクエリを作成したり、エディターのオブジェクトピッカーを活用して、オブジェクトフィールドをより正確に選択することも可能です。

Search options in Unity

2D クリエイターの方は、生産性の大幅な向上が期待できます。今回のリリースでは、基礎部分、インポート、アニメーション、および物理演算のスピードアップに重点を置いて改良を行いました。 

まず、スプライトアトラス v2 がすべての新規プロジェクトのデフォルトとなり、Accelerator とフォルダーをパック可能なオブジェクトとしてサポートすることで、2D クリエイターに好まれる生産性向上を実現させました。拡張子が PSD のファイルの読み込みをサポートしたことで、2D 向けの Photoshop での作業がより快適になりました。また、2D PSD Importer にレイヤー管理を追加し、インポートするレイヤーをより細かく制御できるようになりました。スプライトスワップ機能によってキーフレームとプレビューが合理化され、2D アニメーションのスプライトスワップがより直感的にできるようになりました。

Layer management in PSD importer in 22.1

2D 物理演算を支援するために、ドロネーテッセレーションを導入しています。ポリゴンが細すぎたり小さすぎたりして、物理エンジンにフィルターされてしまうことがよくあります。ドロネーテッセレーションを使えば、細すぎたり小さすぎたりするポリゴンを生成しないようにするだけでなく、同じ面積をカバーするために生成するポリゴンの数も少なくすることができます。詳細はサンプルと私たちのロードマップでご確認ください。

また、皆さんがより素早くプロジェクトに取り掛かれるよう、パッケージマネージャーの改良も続けています。今回のリリースでは、複数のパッケージを一度に選択して一括管理する機能や、パッケージマネージャーのキャッシュの場所を制御するオプションが追加されています。

皆さんのワークフローの残りの部分での生産性をさらに向上させるために、IL2CPP スクリプティングバックエンドで、すべての汎用メソッドの完全な共有バージョンを常に生成するようにしました。これにより、プログラマーはコンパイル時には存在しない汎用型の組み合わせを使用でき、実行時にしか発生しない検出困難なエラーを全般的に回避できるようになります。

開発体験の面でエディターには非常に多くの改善が盛り込まれており、ここですべてを紹介することはできませんが、重要なものをいくつかご紹介します。

  • 再生モードへの移行、テクスチャや小さなファイルのインポート、ビルドの作成がより速く(最大 60%)なりました。
  • 取り消し、やり直し操作の UI の改善
  • プロジェクトを開く際の進捗ウィンドウにキャンセルボタンを追加
  • ショートカットマネージャーの改善

詳細なパフォーマンス情報

ゲームやプロジェクトをプロファイリングして、そのパフォーマンスに関する洞察を得ることは、皆さんが開発を成功させるために不可欠であることを私たちは理解しています。そのため 2022 年に入っても、皆さんが対応の指針の根拠とできる網羅的な情報を提供できるよう、私たちはプロファイリングツールと分析機能の強化を続けてきました。 

このリリースでは、GPU と CPU のフレーム内の時間の使われ方のデータとタイムスタンプを細かいレベルでキャプチャしてアクセスするための Frame Timing Manager を配信しています。Frame Timing Manager はエディター内で使用でき、各フレームでのパフォーマンスに関する情報をこれまで以上に詳細に取得することで、プラットフォームに関係なく、プロジェクトのパフォーマンスのボトルネックを特定し調整することを可能にします。これらの機能を組み合わせることで、あらゆるプラットフォームでプロジェクトのプロファイルやレポートを作成するツールを構築することができます。パフォーマンスチームと連絡を取ったり、フォーラムでさらに詳しい情報を得ることができます。

A screenshot from a Development Build FPS game

シーンを構築・修正したり、コンテンツを改善・最適化したり場合、フレーム予算がどのように使われるかを把握することは重要です。すべてのスクリプタブルレンダーパイプラインに対して、エディター内(再生モードのみ)またはビルドされたプレイヤー内で利用できる Frame Stats Profiler をレンダリングデバッガーに追加しました。このツールは、開発者だけでなく、シーンが CPU バウンドか GPU バウンドかを識別し、フレームでの時間の使われ方の内訳を知りたい人なら誰でも使えるものです。

プラットフォームの最適化

最後に、皆さんが日々デプロイを行っているプラットフォームの幅広さについてお話ししましょう。多くのユーザーが Unity での開発を選択する主な理由の 1 つであり、私たちが新機能と最新の API に対応したプラットフォームの最適化を継続し、ユーザーの創造性を高めようとする理由でもあります。 

Samsung のデバイスで Android のパフォーマンスをさらに高めたい方は、Adaptive Performance 4.0 を利用することができるようになりました。さらに、物理、デカール、カスタム、レイヤーカリングをカバーする 4 つのスケーラーが付属し、その多くにサンプルが含まれています。大きな利点としては、ビジュアルスクリプティングをサポートし、Adaptive Performance によるスクリプティングをさらに簡素化できることです。 

An overview of Unity's Visual Scripting System
Unity のビジュアルスクリプティングシステムの中で、Adaptive Performance 4.0 によりアクセス可能なユニット

Arm チップセットを搭載した端末をターゲットにした Android ゲームでは、さらに最適化を図りたいという話も聞きます。Unity 2022.1 では、System Metrics Mali パッケージで低レベルのパフォーマンスデータにアクセスでき、変更内容がハードウェアレベルでどのような影響を与えるかを把握できるメトリクスを公開することができます。このパッケージに同梱されている Read GPU Metric サンプルをインストールし、実行時に GPU メトリクスにアクセスする方法を確認します。iOS プラットフォームでは、最新のインクリメンタルビルドパイプラインが利用可能になり、アプリケーションで前回のビルド以降に変更があった部分のみを再ビルドできるようにしました。

コンソール機での開発体験の継続的な改善には、全体的な安定性の向上と、Xbox のインクリメンタルビルドパイプラインのサポートが含まれています。

TECH ストリームについてさらに知りたい方へ

新機能の詳細については、リリースノートおよび Unity マニュアルをご確認ください。Unity 2022.1 は Unity Hub からダウンロードできます。今後の展開に興味がある方、機能のアイデアをシェアしたい方は、Unity プラットフォームのロードマップページをご覧ください。

TECH ストリームの各リリースは、次のリリースまで毎週のアップデートによりサポートされますが、新機能の長期的なサポートは保証されません。本制作に入っているプロジェクトでは、より安定し、サポートが充実している Unity の LTS リリースの利用を推奨します。新しいバージョンの Unity にアップグレードする前に、必ず作業のバックアップを取ることを忘れないでください。プロジェクトを Unity 2022.1 に対応させるためのアドバイスについては、アップグレードガイドを参照してください。

Unity Platform Release Timeline
Unity 2022.1 TECH ストリームは、年内の Unity 2022.2 のリリースまで、毎週のアップデートによりサポートされる。

皆さんのための Unity を作るためにご協力ください

私たちはいま Unity 2022 のジャーニーを始めたところですが、私たちのエディターやツールが皆さんの生産性を可能な限り高めることができるよう、これからも皆さんと協力していきたいと思います。新しいリリースをダウンロードし、新機能をご利用いただき、私たちがうまくやれている部分、私たちが次に何をすべきかをぜひお伝えください。 

新リリースに関する一般的なフィードバックは、アナウンスフォーラムの投稿で共有できます。一方、レンダーパイプラインUI ツールキット、またはフレームタイミングマネージャーなど、主要な機能を特に対象としてご意見をいただける場合は、さまざまな分野の専門のフォーラムグループにご投稿ください。こうしたグループの完全なリストは、こちらで確認できます。 

今回のリリースは、2022 年の開発サイクルの第 1 段階に過ぎません。今回盛り込まれた素晴らしい改良に加え、レンダリングパイプライン、アーティストの操作性、ネットコードの改良など、他のいくつかの重要な分野でも成果を上げていく予定です。詳しくは、GDC で行ったロードマップの概要に関する講演動画をご覧ください。私たちのパートナーになっていただき、ありがとうございます。皆さんが作り出すものを目にするのが待ちきれません。

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