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Pinkfong の『Baby Shark』 ― 子供たちに手洗いのやり方を教えるためのコンテンツ

2020年11月26日 カテゴリ: ゲーム | 7 分 で読めます
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世界的なパンデミックが発生している今、子供たちに公衆衛生の意識を広めるにはどうすればいいのでしょうか。魅力的な楽曲と、アジャイルなコンテンツ作成パイプラインによって、それは簡単に実現できます。Pinkfong における Unity の活用方法をぜひご覧ください。

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世界的なプリスクールブランド「Pinkfong」を運営する SmartStudy 社が制作したキャッチーな楽曲『Baby Shark』は、70 億回以上の再生回数を誇り、YouTube の中でも最も視聴されている動画に入ります。Pinkfong はコンテンツ制作の分野でイノベーションを起こし続けており、Unity はそれをサポートする役割を果たしています。Pinkfong は 2018 年から Unity を使ってアプリを開発しており、驚くほど短い間隔で高品質のアプリを市場にリリースしています。先日、私たちは Pinkfong のモーションキャプチャチームとインタラクティブチームに話を聞きました。これらのチームのメンバーは皆、職場でのより良いコミュニケーションを促進し、企業文化をよりアジャイルなものとするために、お互いをニックネームで呼び合っています。両チームのコンテンツ制作パイプラインと、Unity がどのように彼らの目標を達成するのに役立っているかについて、お話を伺いました。

コンテンツプランナーが直接動画を作ることができる

Pinkfong のモーションキャプチャーチームは、モーションキャプチャーデータを使って 3D コンテンツを制作しています。彼らの研究はプロジェクトに活かされており、子供向けの「ラジオ番組」アニメ『Fong Fong Club』では、最新の開発の様子が紹介されています。同チームにより、韓国で開催された Unity の Industry Summit 2019 で行われた、動画コンテンツ制作パイプライン確立への Unity の活用に関するセッションをチェックしてみてください。 以前、チームは 2D コンテンツの作成に Unity を使用することを模索していましたが、それが『Fong Fong Club』でも使用されていた新しい 2D 制作モデルの採用へとつながりました。

チームは、アニメーションクリップを作成するために、ゲーム制作では一般的なアニメーションソフトウェアである Live2D を使用しました。制作されたクリップは Unity に読み込まれ、共通の背景(スタジオなど)を使ったり、TimelineCinemachine でクリップを重ね合わせたり、カメラが自然に動くようにセットモーションを使ったり、Unity の他の機能を利用したりしつつ、エディターでひとつの作品へとまとめられました。ここでチームは、プロのアニメーターやビデオクリエイターでなくても、誰でも社内のビデオリソースを集めて新しいコンテンツを作ることができるように、新しいプロセスを考案したのです。

Pinkfong のテクニカルアーティスト Wasang 氏によると、同チームのコンテンツプランナーは、13 分間のビデオを 2 日で作成することができました。これは、プランナーが直接アイデアを形にできるようになったことが大きく寄与していると言います。つまり、必要とされるコミュニケーションの量が減り、生産性と作業効率が向上したのです。

Preset を使ってコンテンツプランナーも動画を制作することができる。

数本の『Fong Fong Club』の動画を短時間で制作したことで、チームは 2D コンテンツ制作に Unity を使用することの価値と効率性を明確に認識するようになりました。

Unity は世界の変化に対応するために、Pinkfong が迅速に行動をとるための助けにもなりました。例えば、COVID-19 パンデミック下での公衆衛生啓発の一環として同チームは手洗いの歌の動画を制作しましたが、振り付けの撮影から動画制作まで、わずか 2 日で完了しました。外部にデータを送る必要がなく、レンダリングにかかる時間とコストを最小限に抑えることができたため、社内の少人数チームで仕上げることができたのです。これまでは、このような作業では外注に頼らなければならない部分がどうしても存在していました。

実写動画に 3D キャラクターを追加する

モーションキャプチャーチームでは、ピンクのキツネ「Pinkfong」が韓国の様々な観光地を巡る映像も制作しています。これはキャラクターが実在する場所を巡るという内容であり、実写の映像に3Dのキャラクターを加えていく作業が必要になります。

2D ビデオと 3D ビデオの主な違いは、3D ではモーションキャプチャーが必要なことです。この Vlog プロジェクトでは、実写映像に要素を追加する必要があったため、チームは普段気を使わない細かい部分にも気を払う必要がありました。例えば、アニメーション化された Pinkfong のキャラクターの実際の物体に対する高さを設定し、モーションキャプチャーの段階に進む前に脚本を作成する必要がありました。この段階では、データをリアルタイムで可視化し、正確にモーションがキャプチャされていることを確認してから、アニメーターにモーションを送りました。アニメーターは、プランナーが収録した役者の表情やセリフをベースにキャラクターの肉付けを行い、アニメーションクリップを作成。そのクリップは Unity に転送され、3D アーティストがレンダリングを行いました。Unity のリアルタイムレンダリング機能のおかげで、チームはすぐに結果を確認することができ、すべてのプロセスが非常に迅速に行われました。

モーションキャプチャーチームは、Vlog コンテンツの制作に役立った Unity エンジンの大きな強みは、Unity のレンダリング速度だったと強調します。動画制作では、レンダリングに多くの時間がかかります。実写映像に要素を追加するタイプのコンテンツは通常、編集にかなりの手間が必要となるのですが、Unity の高速なリアルタイムビジュアライゼーションによりフィードバックのやり取りがスムーズになり、制作時間を大幅に短縮することができました。

シーンを追加したバーチャル空間を使うことで、モーションに制限を受けない形で 360 度カメラを使うことが可能になった。

コンテンツの再利用とリソースの合理化により、迅速なターンアラウンドを実現

Pinkfong のコンテンツは、アプリ市場でも存在感を発揮しています。『Baby Shark Storybook』アプリと『Wash Your Hands』アプリは、App Store の「Today」ページと「Featured Apps」で何度も紹介されています。Pinkfong のインタラクティブチームは、アプリ市場のトレンドをいち早く把握し、それをアプリに反映させています。また、『Wash Your Hands』アプリのローンチにわずか 2 週間しかかかっていないことは特筆に値することですが、その企画、デザイン、開発のプロセスには Unity が使われています。

インタラクティブなアプリは、ユーザーがタップやドラッグなどで主体的にデジタルコンテンツを操作する必要があり、結果、ユーザーとアプリ間のコミュニケーションはかなり変化が多いものとなります。Pinkfong のインタラクティブアプリシリーズは、ハングルや数学、英語などの教材から、恐竜や車など、子供たちが好むテーマまで取り上げています。これらのコンテンツは面白く、世界中の子供たちがその親と一緒に楽しんでいます。

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インタラクティブチームは、既存の『Baby Shark Storybook』を元に、多様なアクティビティを作成したいと考えていましたが、この目標を実現する上で、Unity は大きな助けとなりました。Unity を使うことで、チームはコンテンツ制作に必要な人的リソースを最小限に抑え、全体的なプロセスを簡素化し、実際に動く製品を完成させるまでにかかる時間を大幅に短縮することができました。

2D インタラクティブアプリを作成する場合、企画段階で方向性やリソースを決定します。デザイン段階でアニメーション用のモデルリソースを作成し、アニメーション制作段階でリギングを行い、完成したアニメーションクリップは Unity のプレハブとアニメーションファイルとして保存されます。開発の最終段階では、アニメーション制作段階で作成したモデルやエフェクト、短いサウンドクリップなどが追加され、完成品に近い仕上がりになります。アニメーション制作段階までは、インタラクティブアプリの開発プロセスは 2D の動画制作と似ていますが、開発段階からのプロセスは異なります。3D の場合は、ユーザーの入力に応じてプロジェクトが異なる反応をするようにインタラクティブな要素が追加されます。

自然な動きを実現する Unity のボーンアニメーション

スケルタルアニメーションとは、プレハブにボーンを追加してメッシュをアニメーション化し、効率的にさまざまな動きを作り出す技術です。例えば、『Baby Shark Storybook』では、海を背景にしたサメを主人公にしています。インタラクティブチームは、スケルタルアニメーションを使用することで、サメのヒレの動きや水中の海藻の揺れに自然に見える動きを付けることができました。

スケルタルアニメーションを使用することで、アプリのサイズを小さく抑えることもできました。Unity を使うようになる前は、チームはキーフレームを使用して関節を動かしたり、海藻を異なる位置から捉えた別々の画像を使ってセルアニメーションを作成したりしていました。しかし、プレハブでスケルトンを使用することで、アプリは大幅にスリム化されました。Pinkfong のデベロッパーの Kuma 氏は、スケルタルアニメーションの費用対効果も注目すべきものに挙げています。

アジャイルなコンテンツ制作パイプライン

インタラクティブチームは、携帯電話のデータプランが高価な国の子供たちも様々なアプリにアクセスして楽しめるようにしたいと考え、アプリを最適化することに価値を置いています。同チームの希望は、インタラクティブアプリが『Baby Shark Storybook』に新しい命を与えたように、元となる素材を再利用したり、形を変えたりすることで、質の高いコンテンツをさまざまな方法で体験できる選択肢を提供することです。

子供たちの間での新型コロナウイルスの蔓延を防ぐために開発された手洗いの歌やアプリの例で示されたように、Unity を使うことで、Pinkfong のような教育コンテンツを提供するブランドが、社会的なニーズに迅速に対応したコンテンツを制作することも可能になるのです。

Pinkfong は、Unity の実験的機能の熱心なテスターです。このブランドは、自分たちのプロジェクトでイノベーションを起こし、より効率的にコンテンツを配信できるようにテクノロジーの活用を推進しています。個々のプロジェクトで確立したプロセスを様々なプラットフォームに広げ、より多くのユーザーにリーチできるように努力を続けています。このチームがこれからもユニークなコンテンツを生み出し、世界中のユーザーの生活に触れていくような活躍をすることを期待しています。

アニメーションパイプラインでの Unity の活用方法や、Unity 2D アニメーションパッケージを使った独自のアニメーションの作成方法のページもぜひご覧ください。

2020年11月26日 カテゴリ: ゲーム | 7 分 で読めます

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