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Changemakers Showcase:Love Death Design 共同設立者、Cat Ross 氏へのインタビュー

2022年11月28日 カテゴリ: ニュース | 12 分 で読めます
Changemakers Showcase: Interviewing Cat Ross, co-founder of Love Death Design | Hero image
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世界中のクリエイターが、Unity を使って想像力を膨らませ、世界をより良い場所に変えていっています。Changemakers Showcase は、クリエイターたちの物語を共有する場です。クリエイターへのインタビューをご覧いただき、皆さんにモチベーションやインスピレーションを高めていただければ幸いです。

Cat Ross 氏(代名詞 she/they)は急成長するテクノロジーに関して、主に社会的正義と環境的正義に基づいて実践を重ねる研究者にしてクリエイティブテクノロジスト、そしてパフォーマンスを行うアーティストです。氏の作品は、仮想現実や拡張現実、空間化された音、ライブパフォーマンスなどに形を与えるものです。また、Cat が共同設立した Love Death Design は、体制的な不公正に挑戦し、環境問題に対する意識を高めるための没入型体験を開発する、リモートワークに対応したクリエイティブスタジオです。同スタジオのニューメディア作品には、アメリカ海洋大気庁、オレゴン科学産業博物館、Creative and Emergent Technology Institute、Make+Think+Code Lab とのコラボレーションしたものもあります。そして、そのクリエイティブな活動は、Portland Institute of Contemporary Art、Pacific Works NW、Center of Contemporary Art and Culture、EYEBEAM、Place Gallery、Indivisible Gallery など各種施設、およびさまざまなバーチャルプラットフォームで紹介されています。Cat は Pacific Northwest College of Art でインターメディアアートでファインアートの学士号を取得し、オレゴン州ポートランドを拠点に活動しています。

Love Death Design は ロサンゼルス、トングバ・ランドにおける環境にまつわる歪みの実体験をバーチャル空間に持ち込み、そこで抗議に加わることができる没入型ドキュメンタリー『Gone to Water / Ido al Agua』の制作について、Unity for Humanity 助成金を受け取りました。リアルタイム 3D を使って良い影響を与え、世界より良い場所にしていくクリエイターの皆さんへ。Unity はそんなクリエイターのプロジェクトを実現させるために、総額 50 万米ドルの助成金を提供しています。応募は 2022 年 12 月 9 日までです。こちらのブログで申請のヒントや過去の助成対象者のアドバイスをご覧いただき、今すぐ助成金の申請を行ってください(訳注:申請期間はすでに終了しています)。

Unity for Humanity 助成金を獲得したプロジェクト『Gone to Water / Ido al Agua』について、もう少し詳しく教えてください。

Gone to Water / Ido al Agua』は、ロサンゼルス南部のトングバ・ランドに蔓延する環境レイシズムを取り上げた没入型のプレイアブルドキュメンタリーです。このドキュメンタリー型ゲームは、ユニバーシティパーク、ワッツ、ウィルミントンなど、ロサンゼルス南部の主要な石油採掘所と石油精製所を訪れ、コミュニティのメンバーに、都市部での石油採掘がコミュニティの健康に与える影響について語ってもらっています。『Gone to Water』は、LiDAR スキャンのようなエクステンデッドリアリティのキャプチャー手法、点群システム、空間内の音源位置を考慮したインタビュー音声、コミュニティが収集した環境データ、アート、パフォーマンス、音楽を仮想空間において組み合わせ、大規模な石油会社との戦いをリードするコミュニティメンバーと固い連帯を構成しています。

Still from 'Gone to Water / Ido al Agua'

Gone to Water』はロサンゼルス南部のコミュニティが、局所的で意図的に起こされた環境汚染に向き合って生きる日常を描いた作品です。この力の不均衡は、コミュニティの人々が住む周縁部の集落を蝕んでいます。私たちは、Communities for a Better Environment、People Not Pozos、Puvunga Wetlands Protectors などの地域環境保護団体と協力し、これらのコミュニティで最も影響を受け、環境レイシズムとの闘いに最も関与している人々の生の声を届けています。 

「私たちは、VR を共感を呼び起こすツールとして、また仮想空間におけるデジタルインクルージョンを促進するツールとして活用したいと考えています。」

私たちは、VR を共感を呼び起こすツールとして、また仮想空間におけるデジタルインクルージョンを促進するツールとして活用したいと考えています。それを、取り上げられることのなかった視点を際立たせ、最先端のテクノロジーを使ってコミュニティを巻き込みながら、彼らのストーリーを伝えることで成し遂げたいのです。これは長い戦いです。私たちは、環境正義を巡る議論に参加し、深めていくことが、戦いを封じようとする努力に関係なく、絶対に重要であると理解しています。

世界を変えたいと思ったきっかけは何ですか。

私の両親です。私は、ピアニストであり作曲家である母と、ロッキー山脈やアイダホの高地砂漠平原に住むいくつかの部族のために土地や水の権利を守るために戦った社会正義に奉じる弁護士である父から大きな影響を受けてきました。私は父から、社会正義と環境正義のための戦いを、母からは、その戦いを広げ、維持するための手段として、クリエイティブな表現を行使する方法について深い知識を受け継ぎました。いま私がしているような仕事をすることは、私の家系に受け継がれてきたものなのです。

Still from 'Gone to Water / Ido al Agua'

最初にリアルタイム 3D に興味を持たれたきっかけは何ですか。

私がリアルタイムに興味を持ったのは、美学と境界を定義する議論がまだ活発にされている時期に、リアルタイムという急成長中のメディアに貢献したいという願望が芽生えたからです。私たちは XR のワイルドウェストにいるのです。これらの空間がどのように機能し、どのように世界に影響を与え、そして誰がその中で取り上げられるのかということは、新しいメディアにおいて公平な文化を発展させるために非常に重要です。

リアルタイム 3D に移行したきっかけは何ですか。

私のバックグラウンドは、パフォーマンス、サウンドデザイン、そしてダンスです。私は常々、総合芸術作品としての演劇作品、つまりあるアイデアを全体として表現する方法に興味を抱いています。その意味で、リアルタイムは私にとってこのプロセスの延長線上にあり、世界における私の経験を記述し処理するモードとしての演劇を高めるために、パフォーマンス、ストーリーテリング、サウンドデザインなどをさらに追求するツールなのです。

成功するために必要なネットワーキングやコミュニティの発見、人脈作りはどのように行ったのでしょうか。

私は、メンターシップを求め、それを大切にし、自主学習と分野横断的な探求を実践し、できる限り頻繁にコラボレーションを行い、一緒に働く人々から学び、敬意を払うことによってコミュニティを見つけ出しました。「成功」とは主観的な言葉です。そして私にとっては、成功とは集団に参加し、コミュニティと関わることについて行うことすべてを含んでいます。私の経験では、好奇心は人脈を構築する上で最も強力なツールです。

あなたを制作へと駆り立てるものは何ですか。

人生は美しい経験であり、正義は実現しうるものであり、芸術はこの世界とその中での私たちの位置を理解するための強力で重要な手段であることを身をもって知ることです。また、私の姪や甥たちをはじめ、多くの若いクリエイターから深い刺激を受けています。

「クリエイティブな表現を通して私は自分の経験を理解し、他人の経験を理解しようとし、鋭さと滑らかさを兼ね備えた刃のような側面を持つ『生きる』ということに折り合いをつけています。」

私が最もインスピレーションを受けるのは、生の経験の複雑さです。総じて、クリエイティブな表現を通して私は自分の経験を理解し、他人の経験を理解しようとし、鋭さと滑らかさを兼ね備えた刃のような側面を持つ『生きる』ということに折り合いをつけています。この切り口からであれば、インスピレーションに事欠くことはないでしょう。 

創作活動がマンネリ化してきたときに、モチベーションを上げるものは何ですか。

直感に反するかもしれませんが、私は創作活動に行き詰まったら休むことにしています。

モチベーションを維持するのに役立つお気に入りの言葉はありますか。

「最も大切なのは、炎の中をどれだけ上手く歩きぬくかだ」。これはチャールズ・ブコウスキーの言葉です。特別好きな作家というわけでもないのですが。でも、この言葉が描き出すレジリエンスのイメージはとても気に入っています。 

今後、最も楽しみにしていることは何ですか。

2023 年の初めにリリースする『Gone to Water / Ido al Agua』が本当に楽しみです。私たちが作ったものを、コラボレーターや世界中の人たちと共有することができます。もっと広く言えば、私が将来についてワクワクするのは、若者の行動、古いシステムの崩壊、そして新しいサステナブルな構造です。私は、引き続き権力の不均衡が解消されていき、白人至上主義や家父長制の根幹を揺るがすような包み隠すことのない平等の要求がなされ、そして、社会変革のためのアートの活用がますます進む様子を目にすることを楽しみにしています。

「私は、引き続き権力の不均衡が解消されていき、白人至上主義や家父長制の根幹を揺るがすような包み隠すことのない平等の要求がなされ、そして、社会変革のためのアートの活用がますます進む様子を目にすることを楽しみにしています。」

Still from 'Gone to Water / Ido al Agua'

これまで達成したことで特に誇りに思っていることは何ですか。

私の親愛なる友人であり、素晴らしいコラボレーターである Marin Vesely 氏と共同で、クリエイティブスタジオ Love Death Design を設立したことです。 

若い頃の自分へのアドバイスをお願いします。

自分のクリエイティブな直感に耳を傾け、それを信頼すること。特にそれが他のみんなの作っているものと違って見えた場合はそうすること。そして、いろいろな人に見てもらうこと。

『Gone to Water / Ido al Agua』は 2023 年初めにリリース予定です。Love Death Design のInstagram をフォローして、最新のリリース情報を入手してください。私たちは、より多くのクリエイターがいれば、世界はもっと良い場所になるはずと信じていますから、すべての人にとって持続可能で、包摂的で、公平な世界を実現するため、私たちのコミュニティが行っている刺激的な仕事について耳にすることをとても嬉しく思っています。このムーブメントに参加したいですか。参加したいと思った方は、2023 年の Unity for Humanity 助成金の申請、Social Impact creator Discord への参加、Social Impact Newsletter の購読を、ぜひご検討ください。

免責事項:これらのインタビューに含まれる情報および意見は、インタビュイーによるものであり、ここでは情報提供のみを目的として提供されています。Unity およびその関連会社は、不正確な情報、遅延した情報、不完全な情報、およびそれらに依存して行われたいかなる行為についても、一切の責任を負わないものとします。各個人および会社に関する情報は、Unity が確認したものではなく、当該の個人または会社から提供されたものです。
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