ArtEngine コミュニティ活動まとめ記事へようこそ!今回初となるこのまとめでは、ゲーム、ビジュアルエフェクト、建築、製造業などの分野で活躍するアーティストがどのように ArtEngine を使って美しくフォトリアリスティックなマテリアルを作っているのかを見ていきます。
マテリアルは、ゲーム開発、映像制作、新しい製品デザインのモックアップなど、あらゆる 3D 制作における構成要素となっています。主人公のキャラクターを際立たせ、小道具に命を吹き込み、観る人にリアルな臨場感を与える環境を整えてくれます。
とはいえ、見栄えのするマテリアルを作るのは簡単なことではありません。新しいソフトウェアツールを開いた時に、これを使いこなすには数学の学位が必要なんじゃないか、と思ったことはありませんか(すごくよく分かります)。
Unity ArtEngine マテリアルオーサリングツールはこのようなフラストレーションを解消するために、皆さんのプロジェクトに AI を導入する手順を出来るだけ簡単にして、どのような場面でも手仕事の時間を節約できることを目指して設計されています。
ArtEngine のような制作支援ツールは、マテリアル作成のいくつかの要素を簡略化してくれますが、それでもまだ様々なワークフローがあり(フォトグラメトリやフォトメトリックステレオの専門家の手を借りる場面もあります)、マテリアル作成についてはこれ 1 つあればよし、というソリューションは存在しません。これを念頭に置きつつ、この記事では ArtEngine をプロジェクトに活用しているアーティストがどのように ArtEngine を活用しているかをご紹介します。また、より深く知りたい方のために、参考になる記事へのリンクを本文中に多数ちりばめました。
今回の ArtEngine コミュニティまとめに登場するアーティストのクレジットは以下の通りです。
ご自身の作品を紹介したい方は、Discord チャンネル、ArtEngine フォーラム、または artengine-info@unity3d.com までご連絡ください。
Luis Paolino が、フォトグラメトリを用いて現実世界からキャプチャしたアセットを用いて作成したシーンを、ArtEngineでクリーンアップしたもの彼の作品については、「Removing the "Technical" from Art Creation」(80 Level の記事、英語)で詳しく紹介されています。
ArtEngine に初めて触れる方は、このツールが何をするものなのか気になると思います。主な機能をまとめると、以下のようになります。
「 ArtEngine: Setting up Materials in Unity」で紹介されている Victor Kam の樹皮のマテリアルのバリエーション
プロがフォトグラメトリやフォトメトリックステレオを使って撮影したスキャンデータを扱う場合でも、スマートフォンの写真やネットで見つけた画像など、平坦な画像を PBR 素材に変換する場合でも、ArtEngine は役に立ちます。ここでは、ArtEngine を使って高品質な PBR マテリアルを短時間で生成しているアーティストを紹介します。
3D スキャンの専門家である Federico Capriuoli 氏は、歴史的事物の保存や教育活動のための建物や物品のスキャンを専門としています。最近のプロジェクトで、中世の教会の 3D スキャンから PBR マテリアルを抽出する必要があり、ArtEngine を使用してこれは実現されました。Capriuoli 氏のワークフロー全体についてはこちらをご覧ください。
家具メーカーの Flokk 社で最近行われた布地をデジタル化するプロジェクトでは、Forte Digital 社の 3D アーティスト Piotr Bieryt 氏が、フォトメトリックステレオのワークフローを採用し、ArtEngine の Multi-Angle to Texture ノードを使用してスキャンからマテリアルを起こしました。
フォトメトリックステレオとは、光の状態を変えて撮影した複数の写真を用いて、被写体の表面のプロパティを把握する手法です。この技術はフォトグラメトリに似ていますが、数枚の写真を撮るだけでいいので、作業に必要な時間ははるかに短くできます。布地のような比較的平らな面には最適です。より複雑な形状の面や物体が対象なら、フォトグラメトリを使うべきでしょう。
Bieryt 氏のスキャンプロセスの詳細についてはこちらをご覧ください。
Federico や Piotr と同じように、フリーランスのアーティストである Juuso Voutilainen 氏も独自のマテリアルを作成していますが、そのほとんどはデジタル一眼レフやスマートフォンで撮影した平坦な画像から作成したものです。
Assisted Creation Beta Program の一環として、Juuso は最近、モバイルデバイスで撮影した写真を PBR マテリアルに変換できるUnity の新しいモバイルアプリケーション「Unity Scan」のテストを開始しました。キャプチャした面を ArtEngine にインポートして仕上げを行った後、Juuso は 3ds Max でシーンを組み上げました。
Juuso の特集記事をご覧になれば、彼のワークフローや、ArtEngine がどのように彼のワークフローの「バックボーン」となっているのか、また、彼が自身の特色ある終末論的コンセプトアートを作成するためのアプローチにどのように磨きをかけているのかがわかります。
スキャンのクリーンアップに関して語るなら、Ubisoft のリードテクスチャーアーティストである Alexandre Rodrigue 氏を、ArtEngine の素晴らしい機能を活用しているクリエイターとして取り上げなければならないでしょう。
以前のやり方であれば、フォトグラメトリスキャンをクリーンアップするには少なくとも数時間、場合によっては 2、3 日かかることもあったでしょう。最近のインタビューでは、Alexandre が ArtEngine を活用した、ゲームに使える地形のテクスチャを短時間で作成する方法について語っています。
下の画像は、Alexandre が Content-Aware Fill を使って、余分な葉っぱを効率的に取り除いている様子を示したものです。
Mutation を使って、Alexandre はマテリアルの別バージョンを生成し、シーンに微妙な変化を加えるという調整を素早く行うことを可能にしています。
シームレスなマテリアルを作るのは面倒な作業ですが、幸いなことに、ArtEngine にはこの作業を迅速かつ容易にこなせる強力なノードがあります。
Beenox 社(Activision Blizzard 社のスタジオ)の 3D アーティストである Sylvain Jubeau 氏は、ArtEngine の Seam Removal は、何時間分もの手作業を省くことができるということで、お気に入りの機能の 1 つにしています。Sylvain がチュートリアルで説明しているように、「私のワークフローは以前よりもずっと速く」なったそうです。そのため、「このような手作業のためにスケジュールを空けることはなくなりました。」
様々な柄のある布地など、より構造的で複雑なパターンをタイル化するには、他のノードと組み合わせて「Seam Removal」を使う必要があるかもしれません。布地をタイル化する手順の詳細は、こちらの YouTube チュートリアルで詳しく説明しています。
Up-Res を使うと、品質の低いアセットの解像度を瞬時に向上させ、古いコンテンツの再利用が可能になります。
GDC Showcase の基調講演では、Insomniac Games 社のプリンシパルテクニカルアーティストである Nathaniel Bell 氏が、彼のチームが Up-Res を使って古いゲームのリマスターをバッチ処理で行っていることを説明しました。
ArtEngine はエンジンに関わらず使えるツールであり、マテリアルを作成して Unity やその他のデジタルコンテンツ制作(DCC)ツールに簡単にエクスポートすることができます。
グレイシャー国立公園を訪れたアーティストの Gui Rambelli 氏と Pat Goodwin 氏は、フォトグラメトリーを使って風景の要素を 3D でキャプチャしました。スキャンした画像を ArtEngine などのツールを使ってクリーンアップした後、Unity でシーンを組み立てました。Gui と Pat のワークフローについてはこちらをご覧ください。
VRFX 社の Pascal Achermann 氏らのチームも、ArtEngine や Unity を使って没入感のあるシーンを作っています。この Unity ブログ記事で、彼のスタジオがどのようにリアルタイムの映像制作ワークフローを取り入れてようとしているかをご覧ください。
今回の記事を通して、ArtEngine に関してより知っていただき、また ArtEngine を利用してワークフローを高速化しているアーティストの姿から刺激を受けていただければ幸いです。なお、7 月 5 日まで ArtEngine を月額 2,299 円(税込)で購入することができます(ご購入後 12 か月間はこの金額で固定です)。ぜひお試しください。皆さんがどんな作品を作るのか楽しみにしています。
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